入手しやすく、リーズナブルな健康食品・豆乳に、過去最大のブームが来ているって知っていましたか? これまでのブームとの違い、いちばん“効かせる”豆乳の飲み方など、新たな一面に迫ります。
豆乳人気が拡大中(写真/アフロ)スーパーの飲料売り場を訪れた主婦Aさんはある異変に気づいた。
「あれ? 豆乳の種類ってこんなに多かったかしら?」視線の先には、拡張された豆乳の棚が広がっていた──。
それもそのはず。
昨年度の豆乳の生産量は過去最高を更新し、今年に入ってからも好調な数字をキープしている。
日本豆乳協会事務局長の川村良弘さんが話す。
「2009年から豆乳の生産量が右肩上がりで伸びています。
現段階で、今年は昨年より6%増加。
前年度の過去最高を更新する見通しです」現在、豆乳は第3次ブームを迎えている。
そもそも豆乳とは、大豆を原料とする、豆腐に固める前の乳液状の状態のこと。
1978年に紀文が初めて三角紙パック容器入り豆乳の販売を開始して、日本に豆乳市場が誕生した。
当時は物珍しさも手伝って消費が伸び、1983年に第1次豆乳ブームが到来。
しかし数年も持たずブームは沈静化した。
「最大の要因はおいしくなかったこと。
すっかり『豆乳=まずい飲み物』というイメージが定着して、当時のテレビでは芸人さんが罰ゲームをする時のアイテムは豆乳か青汁でした(苦笑)」(川村さん)障壁を乗り越えようと、各メーカーは競って味の改善に取り組んだ。
同時に消費者の健康志向の高まりで大豆製品が見直され、“豆乳熱”が復活の兆しを見せた。
第2次ブームが発生したのは2002年末。
スターバックスコーヒーが豆乳入りコーヒーを本格的に販売したことがきっかけだった。
「スタバの『ソイラテ』人気とともに豆乳需要が拡大しました。
大豆に含まれるイソフラボンが健康によいとの説が定着したこともブームを下支えしました」(川村さん)2003年には対前年比で2割くらいだった伸び率が一気に6割伸びた。
次の2004年にかけても5割の伸び率をマークした。
そして迎えた、現在の第3次ブーム。
豆乳は進化を続けていると川村さんは言う。
「大豆を搾っただけの無調整豆乳や、そこに脂分や食塩を入れて調整した調製豆乳の味と質は年々向上。
飲みやすさからかパックのまま無調整豆乳を飲む人も増えました。
各メーカーの企業努力で、飲料だけでなく、豆乳パンや豆乳鍋といった食用にまで用途が広がったことも市場の拡大を後押ししましたね」ユーザーの年齢層が広がったことも第3次ブームの要因の1つだ。
「ヘビーユーザーは、以前から健康志向のある40~60代の女性ですが、近年は男性や10~20代の若者にも支持されています。
みなさん、ジュース感覚で手に取っています」(川村さん)味の種類も多様化しており、キッコーマンはチョコミント味、マンゴー味、紅茶味など、現在33種類のフレーバーの豆乳飲料を販売する。
この夏に生まれた新たなトレンド、「豆乳アイス」も第3次ブームを過熱させている。
これは、紙パックの豆乳飲料を冷凍庫で凍らせるだけの簡単なもの。
猛暑が続いた今夏、あるユーザーがツイッターに「最近のマイブーム パックの豆乳飲料を冷凍庫に入れるだけでやみつきアイスができる!! 安くて多くてカロリーは100ちょい」と投稿すると、口コミで人気が爆発した。
毎日、1日2回に分けて飲むこと味、食べ方とも発展を続ける豆乳はなぜ健康にいいのか。
跡見学園女子大学マネジメント学部の石渡尚子教授(食生活学)は話す。
「大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た構造をしています。
最大の効能は、更年期障害や閉経で女性ホルモンの分泌が減少した人に、弱いながらも女性ホルモンの作用を与えられること。
骨を強くするだけでなく、肌のハリをよくするといった美容への効果も期待できます」女性ホルモンと似た作用があるだけでなく、抑制するという「裏作用」もある。
「女性ホルモンが過剰に分泌されると乳がんや子宮がんなどホルモン依存症のがんになりやすい。
イソフラボンは“偽ホルモン”として本物の女性ホルモンが受容体に結合するのを防ぐ働きがあり、ホルモンの過剰によって起こるがんを予防します」(石渡教授)豆乳に含まれる大豆たんぱく質にも嬉しい効果がある。
「たんぱく質は体内で燃焼したとき熱になりやすいため体温を上げ、血流をよくすることで代謝も上がります。
また筋肉の疲労回復や脳をリラックスさせる効果も期待できます」(石渡教授)なるほど、豆乳をうまく摂取すれば、女性ホルモンに作用し、健康にも美にも好影響を与えてくれそうだ。
では、どう飲むのがベストか。
健康のため大切なことは、「毎日飲むこと」だ。
「イソフラボンは代謝が早く、摂取から6~8時間で約半分が排出されます。
毎日摂取することが大切で、1日2回飲んでほしい」(石渡教授)豆乳を飲む時間帯は「朝と夜」がベストだ。
「朝寝起きにたんぱく質を摂ると体温が上がり、シャキッとして仕事や家事の効率が上がります。
夜に摂取すると疲労回復効果でリラックスできます」(石渡教授)ちなみにイソフラボンは熱を加えても冷やしても壊れにくい。
凍らせてアイスにしても問題ないという。
毎日摂取する量は「50~100mg」が目安になる。
「東北地方が調査したところ、元気な高齢者は1日100mg以上のイソフラボンを摂取していました。
一般的には無調整豆乳200mlでおよそ50~100mgのイソフラボンが含まれます。
豆乳のパッケージに『大豆イソフラボン』か『大豆イソフラボン(アグリコンとして)』と記載されているものがイソフラボンの含有量。
ただし『大豆イソフラボン』は糖が付随したかたちのため、パッケージ表示から0.63をかけた数値が体内に入る純粋なイソフラボン単体の量になります」(石渡教授)『大豆イソフラボン』の表記が100mgなら体に吸収されるイソフラボンは約63mgということだ。
いいこと尽くしのようだが、注意点もある。
「豆乳は意外と高カロリーで1本100キロカロリー前後あります。
お茶碗半分のご飯くらいのカロリーなので、健康にいいからと飲みすぎると気づかぬうちに体重が増えています。
一度に大量摂取するとアレルギーを発症する可能性もあります。
大豆イソフラボンはなるべくサプリメントではなく、摂りすぎの心配がない食品から摂取してほしい」(石渡教授)今回はブームで終わらなさそう。
目指せ豆乳美人!キッコーマン豆乳アイスの作り方【1】豆乳パックは冷凍庫に入れる前に、上部の折りたたみ部分を立てる。
【2】まる1日冷凍庫で氷らせる。
【3】冷凍庫から取り出したら、立てておいた折りたたみ部分をはさみで切る。
【4】完成! 凍らせすぎて硬くなってしまった場合は、しばらく水につけておくと食べごろになる。
※女性セブン2018年9月20日号●豆乳やアーモンドミルクもアイスに!サラヤの「ラカント低糖質アイスミックスパウダー」を【実食レポ】●【便秘改善レシピ】キムチで代謝もアップ!「豆乳ごま純豆腐チゲ」●おからや豆乳が体に優しい。
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