子供の頃は足も速かったのに最近はちょっとのところでつまずいてしまう、階段がシンドイという事はありませんか?もちろんそれは運動不足によるものですが、それ以上に股関節の動きが悪くなったことに原因があることが多いんです。
なかなか自分では意識することはないですが、股関節は人の関節の中で一番大きな関節です。
その為股関節がもつ役割も大きなものがあります。
今回はその仕組みや働きと硬い股関節を柔らかくする方法について詳しく解説します。
股関節とは解剖学的に解説すると、股関節とは骨盤の一部である寛骨臼という深いソケットのような受け皿と大腿骨のつけ根にある大腿骨頭という部位で構成されています。
深い寛骨臼に丸い骨頭が通常4/5納まることで大きな可動域と人の体重を支える強さを獲得しています。
骨盤は寛骨のほか仙骨と尾骨によって構成されていますまれに「股関節の臼蓋形成不全」という臼蓋が浅い先天的疾患などで痛みが強い、歩けない、関節の動きが制限されるといった場合には「人工骨頭置換術」という手術法があります。
近年は技術も進み比較的簡単に手術ができ入院期間も短くて済むようになりました。
無論リハビリの重要性は高く手術後の状態を左右します。
また高齢になるにつれ股関節の軟骨が減少し変形をおこす「変形性股関節症」と言う関節疾患もあります。
女性に特に多く、加齢による骨量の減少や体重の増加、筋力の低下が原因となります。
これを防ぐには早い時期からの予防が有効です。
1、カルシウムとビタミンDの摂取2、肥満の予防3、筋力の維持(増強は必要ありません)若い時必要ありませんが40歳を過ぎれば「骨粗しょう症」の検査をお勧めします。
腰椎(腰骨)、股関節、膝関節が骨粗しょう症の影響が出やすい部位です。
股関節の役割について前述のように股関節は人の体で一番大きな関節です。
さらに人の筋肉で一番太い大腿の筋肉がつくことで人が普段何気なく行っている立つ、しゃがむ、歩く、走る、跳ぶ、蹴るといった多くの動作が可能になっています。
それもすべての動作を体重を支えたうえで行うのですから股関節に対する負荷はとても大きいと言えます。
座位は一見楽に見えますが股関節自体は屈曲位を強いられているわけですから同じ姿勢が長時間続くと悪い影響を与えます。
もし仮にどちらかの股関節を傷めたとしたら左右の荷重のバランスが崩れ骨盤にも影響しさらには骨盤と連結している脊椎にも悪い影響が出て姿勢の悪さなどの原因となります。
このように股関節は人間の上半身と下半身のバランスを整えるという重要な役割を果たしています。
股関節が硬いことによる影響は?股関節は肩関節の次に大きな可動域を持ちます。
具体的には6方向への動きで、屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋(ひねり)になります。
もしこれらの動きが硬くなると様々な障害が出てきます。
こうした動きを可能にしているのが股関節周囲の筋肉です。
色々な原因で筋肉が硬くなると股関節の動きに制限が出ます。
つまり股関節の硬さイコール筋肉の硬さだということを理解しておいて下さい。
1、ケガをしやすくなる例えば濡れた路面で足が滑った場合を想像してください。
足が滑るにともない股関節が開いてくれれば問題ないですが、硬い場合動きが制限されることで瞬間的に股関節に大きな負荷がかかりいわゆる「捻挫」の状態なったり悪くするとつけ根を骨折することもあります。
さらに筋肉にも負荷がかかります。
筋肉が硬化していると同じようにとっさの動きに対し柔軟な対応ができず「肉離れ」や「筋断裂」を起こしたりもします。
こうしたことは運動をする中で頻繁に出てきます。
スポーツ選手にとって下半身のケガは選手生命を脅かすことになりかねません。
日ごろの体のケアの必要性は非常に高いものがあります。
2、一歩が小さくなる最近時々テレビで見ることがありますが、できるだけ大きく二歩足を踏み出してどれくらい進めるのかと言うテストです。
筋力テストの一種ですが股関節の可動域も大きく関係します。
硬いと当然一歩が小さくなります。
蹴りだす力や踏むだす力に対し股関節の広がりが出ないことにあります。
ある短い距離を走るテストによると若年者の一歩の幅が平均138㎝であったのに対し高齢者の方たちは平均108㎝だったという結果もあります。
また一歩が小さくなるとチョコチョコした歩行姿勢となり年齢よりも老けて見られがちになります。
3、段差を上がれない自分の膝の高さくらいの段差だったら簡単に上がれますがそれ以上になると脚の筋力とともに可動域も必要になります。
その高さに足を載せられないのであれば可動域が小さくなっている証拠です。
4、胡坐ができない女性は日常生活の中で胡坐をするという機会はそうないでしょうが、例えばヨガなどで同じポーズをすることがあります。
股関節が硬いとそのポーズさえできない場合があります。
ヨガの前の準備運動が必要だというおかしなことになります。
股関節を柔らかくするストレッチについてでは硬くなった股関節を柔らかくする方法は何かと考えるとストレッチしかありません。
関節を柔らかくする薬なんかないですし将来でる可能性もゼロだ断言できます。
少し苦労して柔らかくする方が達成感も満足感も大きくなります。
では股関節を柔らかくストレッチについて詳しく解説します。
1、四股とまた割四股とまた割はお相撲さんの準備運動の一つです。
近頃は「相撲女子」と言われるように女性の大相撲ファンが増加しているようですがそんなお相撲さんの柔軟性には驚かされます。
入門後のけいこの際また割で大きく足を広げた上に100㎏以上のお相撲さんが背中に乗っかるように上体を押し下げ無理やり可動域を広げます。
ここまでしても柔軟性を必要とするほど相撲と言う競技は激しくケガをしやすいという事でしょう。
また割できるだけ両足を広げ上体を前に倒します。
この際注意することは背中を丸くしないこととつま先を内側に向けないことです。
コツは骨盤を前に倒すことをイメージしてください四股四股と言ってもこの場合足を振り上げおろした後の姿勢をさします。
両足をできるだけ広げ足の裏をしっかり床に着けた姿勢から膝が90°位になるまでお尻を落としてその状態を10秒くらいキープします。
この時に両手で両膝を外に広がるよう押すことで効果がより強くなります。
2、座ってする胡坐をする姿勢で両足の裏を合わせたままで上体を前に倒します。
同じように背中を丸くしないことと合わせた足の裏を離さないことです。
両肘で膝を広げるように押さえるとより効果があります。
同じように10秒キープします。
同じように胡坐をし右膝を立て左脚の外側に置きます。
その姿勢のまま上体を右に捻り10秒キープし次に左を行います。
上体を捻った際肘で曲げた膝の外側から押すと捻りが強くなりより効果があります。
3、寝て行う仰向けで寝た姿勢から片足を伸ばしできるだけもち上げ、そこからつま先を捻りながら外に倒し限界のところで10秒キープし次にもう一方を行います。
このストレッチは自分の脚の重さが掛かりますので無理はしないで下さい。
できるだけ膝を曲げない方がいいのですが無理そうなら少し曲げても構いません。
片膝を曲げ胸に向かって強く引き寄せキープします。
この際に反対の脚ができるだけ浮かないように注意しましょう4、物を利用する股関節が90°になるくらいの高さの台に踵をのせそのままの姿勢で腰を落とします。
正面を向いてする方法と横向きになってする方法がありますが、どちらも片手で何かを掴んで安定した状態でする方が安全です。
この場合つま先を立てたままにすることがコツです片膝を椅子の上に乗せて曲げつま先を手でつかみます(右膝なら右手)。
次に一方の脚を前に踏み出しそのまま腰を落とし限界の姿勢を10秒キープしますストレッチで硬い股関節を卒業しよういかがでしたか?股関節に関する様々な事実について解説してきましたが、股関節ては女性にとって将来に向けて早い時期から予防が必要な体の部位です。
まずはストレッチを日常習慣に取り入れ柔軟性を維持するとともに下半身の筋力の維持に努めてください。
筋トレも必要ですが近頃マスコミに良く取り上げられるパーソナルトレーナーによる「追い込み型」のトレーニングは必要ありません。
自宅でできる方法を継続することで十分筋力を維持することは可能です。
それに長いスパンで行うものですから焦ることもありません。
ご自分のペース行いましょう。
では硬い股関節を効果的なストレッチで解消した場合どんな効果をもたらすかについて解説します。
1、血流の改善ストレッチを行うことで筋肉の緊張、硬化が改善され可動域を回復すれば下半身の血流がよくなります。
その結果「冷え性」「足のむくみ」「だるさ」などの下半身の症状が改善されます。
2、足のゆがみの矯正ストレッチをし股関節のバランスが整うと脚のアラインメントが正しくなり「O脚」や「X脚」の改善につながります。
(完全に良くなることではありません)3、下半身がスッキリする血流の改善とも関係しますが「むくみ」が解消することでふくらはぎがスッキリとします4、活動量の増加股関節の柔軟性が回復すると足の運びが軽く、楽になります。
その結果歩くことや階段の上り下りが苦にならなくなることで日ごろの活動量が増えてゆきます。
すると体の基礎代謝が自然と増加し自分でも意識しないでダイエットすることになります5、その他血流の改善、活動量の増加はそのほかにも体に対し良い影響を与えます。
ストレッチの効果もあり「便秘の解消」とこれに由来する「肌荒れの解消」も期待できます。
便秘の解消は中性脂肪の減少にも関連しますのでダイエットにも良い働きをします。
また活動量が増え基礎代謝が向上することで腰痛や肩こりの解消につながります。
このように股関節は人の体の中心に位置することで上半身と下半身のバランスを整え体の隅々まで良い健康効果を運びます。
逆に硬くなると様々な弊害が出ることは読んでいただくことで理解して頂いたと思います。
前述しましたが股関節の硬さは先天性の疾患をものが除き周囲の筋肉の硬化によるものがほとんどです。
筋肉の硬さを解消するためにストレッチほど有効な方法はありません。
たとえどんなに硬くてもしっかり継続することで必ず柔軟性は回復します。
ただ個人差もありますし体質的にもともと筋肉の性質が硬い方もいますが、そのような方は少し時間がかかるかもしれません。
早い人では3週間くらいで効果が表れます。
ストレッチほど効果を実感できるエクササイズはありません。
続けることで伸びないところが伸びるようになり曲がらないところが曲がるようになるわけですから。
ストレッチの注意点についていくつか挙げておきます。
1、無理をしない硬い関節を柔らかくするわけですから無理は禁物です。
特に開脚また割りを無理に行うと内転筋を傷める危険性があります2、一人で行うパートナーストレッチというやり方もありますが相手の理解レベルによっては力を入れすぎで傷めることもあるので単独で自分のペースで続けましょう3、お風呂上りにおこなう入浴後は血行が良くなり筋肉も柔らかくなります。
そういう時はストレッチしやすくなるので普段より曲げたり伸ばしたりが楽にできます。
逆に起床後にする場合はゆっくりと行ってください。
朝は体全体が硬くなっていますのでやさしくしましょう4、ストレッチをする際の呼吸に関しては軽くしながらでいいです。
息を止めるて行うのはやめましょう。
5、時間や回数は個人個人生活パターンが違うので一概に言えませんが、まず自分でメニューを決めてその中からできる時間内でできるメニューをする、ということでいいのではないでしょうか。
ストレッチのやり方は様々なので本や雑誌、インターネットなどで検索することで多くの方法が紹介されています。
その中からより効果がありそうな方法を探して実施するのもいいことです最後になりますが、人間の体は非常に正直です。
しっかりやった人は早くに良い結果を手にできますが、怠けたりするとそれなりの結果しかもたらしてくれません。
どこを目指すのかは皆さんの自由です。
まずは今日からでも始めましょう。