ちょっとした風邪がズルズル長引く、つらい冷え、慢性的な疲れやダルさ…どれも大病じゃないからこそ、病院や薬に頼らず治したい。
それなら今こそ「薬膳」を始めましょう。
季節に合わせた養生食で病気知らずの体にイラスト/ふじいふみか本草薬膳学院学院長で中医師・医学博士の辰巳洋先生はこう語る。
「薬膳とは、中国の伝統医療である中医学の理論に基づき、食材と中薬を使って、健康の維持や病気の予防・治療を目指すものです。
薬膳料理を作る上でのポイントは、健康の状態に合わせた食材の選び方と組み合わせ。
六味(酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味・淡味)と呼ばれる味が体に及ぼす作用と、五性(寒・涼・平・温・熱)と呼ばれる食材の性質を上手に組み合わせることが肝要です。
一見難しく感じますが、スーパーなどで売られている、旬の食材など身近な素材で作ることができます。
症状によって必要な食材は人それぞれ。
例えば、『冬だから体を温めるものを』と思いがちですが、高血圧の人やほてりやめまいに悩む人は、温めることで症状を悪化させることもあるのです。
自分の体の不調や悩みの原因を見極め、食材を選びましょう。
健康長寿、そして病から体を守るため、薬膳をぜひ生活に取り入れてみてください」冬の養生のポイント中医学では寒さが不調を招く病因を「寒邪」といい、寒邪が猛威を振るう冬は、冷えや乾燥による影響を受けやすいとき。
次の5つのポイントを押さえた食材を積極的に取り入れよう。
●気を下ろす大根やかぶには気を下ろして宿便を排出する働きが。
消化を助ける効果もあるため、年末年始の胃の疲れやもたれにも◎。
●腎を補う精気を貯蔵し、水の代謝などを司る「腎」は寒さに弱く冷えを嫌うため、働きを補う食材を。
さつまいも、かぼちゃ、くるみは気を補い腎機能を強化し、黒豆や海藻は、血の巡りを整える。
●肺を潤す喉や肌などが乾燥するこの季節、肺を潤すことで風邪予防。
れんこんや松の実、白きくらげなど白い食材は肺を潤す効果があります。
●体を温める漢方薬としてもよく使われるしょうがをはじめ、シナモンや唐辛子、にんにくなどには、辛味・温性で血流を促進し体温を上げる作用が。
体を温めることで免疫力が高まり、丈夫な体が手に入る。
●気と血の巡りを整える寒さによる気血の滞りを活性化させることで、未病を防ぐことができる。
みかんやきんかん、うこん、薬味に使われるような香りのある食材には、気血の巡りを整える作用がある。
薬膳は「心と体を整える」“やさしい薬”タレント・国際薬膳師 麻木久仁子さんタレントで国際薬膳師でもある麻木久仁子さんにも話を聞いた。
麻木さんは、薬膳は「心と体を整える」“やさしい薬”だという。
「48才の時に脳梗塞を、50才で乳がんを発症しました。
幸いなことに今ではすっかり快復しましたが、解消することのできない体の不調を感じていました。
そんな時に出会ったのが薬膳です。
薬膳の考え方は中医学に基づくものですが、ざっくり言ってしまうと“身近にある食材全てが薬”ということです。
季節や体調にあった野菜や肉、魚をいただくことで、「未病」を防ぎます。
“喉が痛いから○○を”“なんだかダルいから○○を”と食事のたびに自分や家族の体のことを考え、対話して労ることができるのです。
特定の食べ物を制限したり過剰に食べたりするわけではなく、なんでもバランス良く、おいしく食べるという食事の喜びが基本。
“食べるって楽しい”という気持ちが芽生え、まさに“人生を豊かにするもの”だと思います。
決して難しいことではないんです」撮影/菅井淳子※女性セブン2018年12月20日号●薬膳料理はスーパーにある食材で簡単に!美容薬膳家・熊澤枝里子さんのむくみ改善レシピ●旬のレモンでダイエット!代謝アップに◎の「薬膳レモン白湯」●薬膳達人が伝授!ダイエット&便秘解消に効くみそ汁レシピ●モデル・熊澤枝里子さんはピラティス&薬膳で心も体も整える【美痩せインタビュー】●冷え、風邪、便秘、ダイエットに!お茶のパワーを15の種類別に解説