ダイエットの敵となる食後血糖値の急上昇を抑える効果があるベジファーストは、今やダイエッターの常識。
でも、食事のシーンによって、野菜を最初に食べることが難しい状況も…。
写真/GettyImagesそんなときに手軽に持ち歩くことができる野菜ジュースが役に立つ、という研究結果を『野菜1日これ1本』などでおなじみの「KAGOME(カゴメ)」が発表している。
そこで、管理栄養士の豊田愛魅さんに、知っているようで知らない野菜ジュースのメリットと、より効果的な取り入れ方を教えてもらった。
* * *野菜ジュースの栄養素が血糖値上昇を緩やかにベジファーストとは、食事の最初に野菜を食べ、食物繊維などを摂ることで食後血糖値の急上昇を抑制する効果が期待できる食事法。
でも、サラっとした飲み口の野菜ジュースには食物繊維が入っていない、というイメージを持っている人もいるはず。
「野菜ジュースや果実ミックスジュースはこされていることが多く、サラダに多い食物繊維が減っているタイプもあります。
ただ、こすと減ってしまうのは主にボソボソとした不溶性食物繊維で、水溶性食物繊維は含まれているんです」(豊田さん・以下「」同)さらに、血糖値の上昇を抑えるのは食物繊維だけではないそう。
「クエン酸など酸味の成分やビタミンも血糖値の上昇を穏やかにしてくれる働きがあります。
これらは果実にも多く含まれているので、それらが作用していることも考えられます」太る糖と太りづらい糖写真/GettyImagesでも、果汁を摂ったら糖質量も多くなってしまうのでは…?「糖にはいくつも種類があって、それぞれ特徴が違います。
例えば、ブドウ糖は小腸から吸収されたあと血液中に入り、血糖値が上がります。
すると、インスリンがすい臓から分泌されて血糖値が下降します。
そして、ブドウ糖は全身の細胞に運ばれてエネルギーとして利用されるのですが、余った分が中性脂肪となるため太る原因に。
一方、果物に多い果糖はほとんどが肝臓で代謝されるので、血糖値が上昇しづらいのです」さらに、食物繊維やビタミン、ミネラル、有機酸、ファイトケミカルなども一緒に摂ることができる果物は糖の吸収も穏やかで血糖値を上げづらく、ビタミンの中には代謝に必要なもの多く含まれているため、脂肪として溜まりにくいというメリットもあるそう。
「しかし、果糖も過剰にとると中性脂肪として貯蔵されるので、肥満のリスクがあることが指摘されています。
血糖値を上げないからといって果物の摂りすぎはNGです」では、どのくらいの量なら摂りすぎにならないのか教えてもらった。
野菜ジュースを飲む量と時間写真/GettyImages「厚生労働省が推進する健康作り運動『健康日本21』では、健康増進の観点から1日350g以上の野菜、1日200g以上の果実を食べることを目標にしています。
しかし、現在どの年代においてもその量に達していない状況です」食事のバランスについては、農林水産省が公開している「早わかり食事バランスガイド」を参考に。
副菜(野菜やきのこ、海藻類など)は70g、果物は100gで1つ(1SV)とカウントし、1日あたりに食べる量の目安は、副菜が5〜6つ、果物は2つ。
「野菜ジュースは飲んだ重量の半分量を野菜として、果汁100%ジュースは飲んだ重量の半分量を果物として扱います。
つまり、それぞれ紙パック(200ml)1本を1つ(SV)と数えることができます。
ただし、これはあくまでも補助的なものとして考え、野菜や果物そのものを食べなくてもOKということではないので、食事で食べる野菜や果物にプラスするものと考えてくださいね」写真/GettyImagesつまり、果汁100%ジュースのみの場合は、1日2本(400ml)までは摂りすぎにはあたらないけれど、1日1本程度にして果物からも栄養を摂るのがいいよう。
野菜ジュースの場合も同様に、血糖値ケアや野菜不足対策に飲むのは◎だけれど、健康のためには食事からも野菜を摂ることが必要といえる。
また、これまでの食事に野菜ジュースをプラスする場合は、カロリーオーバーにならないよう注意を。
「私なら食事と食事の間の間食として飲みますね。
たとえば、ランチが13時で夕食が20時からなら、19時半目安に野菜ジュースを1本飲んでから食事にします。
空腹によるドカ食いを抑えることができて、食べすぎ防止にもなりますし、もちろん血糖値にもいい影響があります。
これから野菜ジュースを飲み始める人は、1日200mlを目安に上手に取り入れましょう」そして、「KAGOME(カゴメ)」と城西大学の研究結果によると、血糖値上昇を抑えるには、食前30分前に野菜ジュースを飲むのがもっとも効果的なのだとか。
でも、ゆっくり朝食を摂る時間がない人や仕事の合間にランチを手早く済ませるという人は、実践が難しいかも。
豊田さんによると、「野菜ジュースのビタミンやミネラルは、食事で摂る糖質やたんぱく質、脂質の代謝を上げるなど、お互いの吸収を助ける効果があるので、食事と一緒のタイミングに摂ることもプラスに働くと思います」とのこと。
ダイエットに◎な野菜ジュースを選ぶ3つのポイント「野菜ジュースに含まれる糖はそもそも血糖値を上げづらい」「水溶性食物繊維など血糖値を抑える効果のある栄養を含んでいる」ということから、食前の野菜ジュースはダイエットに役立ってくれると言える。
そこで最後に、ダイエット中の人が野菜ジュースを選ぶときのポイントを教えてもらった。
【1】野菜や果物が100%で砂糖や食塩が添加されていない血糖値上昇の原因になる砂糖が添加された野菜ジュースは、太りやすいジュースと同じ。
【2】より多くの野菜がブレンドされている野菜の種類によってビタミンやミネラルは異なるので、いろいろな野菜がバランスよく配合されているものを選んで。
また同じ種類を飲み続けるよりも、気分でいろいろな味を試すのも、多様な栄養素を摂ることができるので◎。
【3】スムージータイプもオススメドロドロとした食感の野菜フルーツジュースには不溶性の食物繊維も豊富。
満足感も高いので、シーンに合わせてチョイスして。
あくまで野菜ジュースは食事の補助だけれど、冷蔵庫に常備したり、出かける前にバッグに忍ばせたり、サラダよりも手軽に実践できるベジファーストとして取り入れてみて。
監修:豊田愛魅さんとよだ・まなみ。
管理栄養士、美容アドバイザー。
東京家政大学卒業後、管理栄養士としてオーガニックカフェにてメニュー開発を行い、その後、独立。
現在は、セミナーや講演をするほか、テレビ番組にも多数出演。
著書に『美人をつくる栄養レッスン』(朝日新聞出版)など●【美のプロが愛するコンビニ飯】肌やお腹の調子をキープ!184円ドライフルーツ、300円甘酒など4品●1食あたり糖質40g以下!ロカボ対応の「糖質想いの押し麦がゆ」を【実食レポ】●NGの野菜も!【痩せる食べ方Q&A】ベジファーストのダイエット効果は?●【むくみ改善レシピ】朝ごはんにぴったりの「小松菜とキウイのスムージー」●これだけで太らない&痩せられる!5つの超シンプルメソッドを『帳消しダイエット』著者が解説