街中はすっかり秋のファッションで彩られ、あちこちの店先には秋が旬の食べものが並び、どんなに暑さが残っていようとも、もう季節は秋なのだと感じさせますね。
そんな中、いまだに夏の疲れを引きずってはいませんか?なんだか疲れている、倦怠感がぬけないなど、季節の変わり目に不調を感じている人のために、「マラソン界のシンデレラ」と呼ばれた最強美人ランナー市橋有里(いちはし・あり)さんが、ダイエットにもうれしく、クエン酸の力で夏の疲れをすっきり解消してくれる、この時期にぴったりのメニューを伝授!なかなか身も心も夏モードからシフトできずにいるライターFが徹底レポートします。
今が旬!香りだけでなく栄養も豊富な「すだち」の爽やか茶碗蒸し――すだちの爽やかな香りと酸味、たまらないですよね!有里:そうでしょう? すだちは私の地元、徳島の特産品。
徳島では、お刺身、冷奴、揚げ物など、何にでもすだちを絞って食べるんですよ。
――贅沢! 調味料の代わりにすだちを絞るなんて、産地ならではですね。
有里:そうですね。
実家にもすだちの木があったので、よく実ったすだちをもいで食べていたのですが、上京後、すだちの値段の高さにびっくり! 大切に使うようになりました(笑い)。
――確かに。
東京では、他の柑橘類と比べて少し敷居が高い印象かもしれないです。
有里:そう。
でもすだちは風味がいいだけじゃなく、栄養もたっぷり含んだ果物なので、もっとお料理に活用してほしくて。
今日はすだちを添えるだけで、香りも栄養もぐっとアップする茶碗蒸しをご紹介したいと思います。
――楽しみです!《材料》(2人分)卵(L)…1個 鶏もも肉…10g えび…4尾 しいたけ…1個 すだち…1個 銀杏…6個 白だし…大さじ1 水…180cc《作り方》【1】鶏もも肉は一口大に切り、しいたけ、すだちは薄切りにしておく。
【2】ボウルに卵を割り入れ、水、白だしを加えて泡立てないように混ぜる。
【3】器に具を入れ、【2】を注いでアルミホイルでふたをする。
【4】鍋に2~3cmの高さまで水を入れ、ふたをして強火で加熱し、沸騰したら弱火にして10分ほど蒸す。
すだちは最後に添える。
9月が旬!皮にこそつまった「すだち」の栄養とは?写真/アフロ――すだちは、9月が旬なのだそうですね。
有里:その通りです。
年間を通して流通はしていますが、今がいちばん風味高いすだちを味わえる季節です。
――旬というと、栄養価もより高そうなイメージですが、すだちにはどんな栄養が含まれているのでしょうか?有里:すだちは、果汁と果皮とで含まれている栄養が違うのが特徴で、果汁と果皮の両方に豊富に含まれている主なものとしては、カリウムやビタミンCなどがあります。
――皮にも栄養が含まれているんですか?有里:はい。
すだちの果皮には、ビタミンAやビタミンE、食物繊維やカルシウムなどが豊富に含まれています。
それに、近年は、抗酸化作用や発がん抑制作用のある「スダチチン」という物質が含まれていることも明らかになっています。
――皮にそんなに栄養が含まれているなんて、驚きです!有里:そうですよね。
もちろん果汁も栄養豊富で、代表的なのは、酸味の正体であるクエン酸。
すだちには、疲労回復に効果的なクエン酸が、レモンの1.5倍、みかんの4倍以上も含まれているので、夏の疲労回復にはぴったりの食材といえます。
――それは頼もしい! ビタミンCや抗酸化作用のある物質も豊富なら、お肌にもよさそうですね。
有里:まさに、美肌への期待も抜群です。
水溶性のビタミンCを効率的に摂取するには、生のまま、お料理と一緒にいただくのがおすすめですよ。
――なるほど! 今年の秋はすだちを活用したいと思います!低糖質・低カロリーの茶碗蒸しはダイエッターの強い味方!――おだしの風味と食感が優しい茶碗蒸し、大好きです。
有里:ほっとする、日本の味ですよね。
実は茶碗蒸しは、低糖質・低カロリーで、合わせる具材によって栄養素をプラスしやすく、ダイエット中や糖質制限中にも最適なメニューです。
――意外に食べ応えもありますしね。
有里:そうですね。
蒸し料理なので油も使わないですし、卵はもちろん、鶏肉やえび、それに秋が旬のきのこなどを加えれば、糖質とカロリーは抑えたまま、栄養バランスのよい一品に仕上げることができます。
――ぜひ作ってみたいのですが、茶碗蒸しをちょうどいい硬さに仕上げるコツはありますか?有里:茶碗蒸しを上手に作るには、だしと卵の量が決め手。
計量カップで卵の量を測り、だし汁をその3倍の量にすると失敗しないと思いますよ。
――卵とだしが1対3ですね、覚えておきます!有里:それから蒸し器がなくても、お鍋に水を入れてキッチンペーパーを敷き、器にアルミホイルをしてグツグツ火にかければ、こうして茶碗蒸しを作ることができるんです。
――正直、うちには蒸し器がないなと思って、今回のメニューは自宅で作るの、あきらめかけていました(笑い)有里:やっぱり(笑い)。
キッチンペーパーを1枚入れるだけで、器がガタガタ動くのを防いでくれるので、ぜひみなさんにチャレンジしてもらいたいですね。
それから、すだちは添えるだけでも十分に香りがたつので、いちばん最後に添えるのがポイントです。
――はい! すだちを添えることで、優しい味わいの茶碗蒸しに爽やかな風味と栄養が加わって、疲労回復にも効果的になるなんて、いいことづくめですね。
有里:果皮にも果汁にも栄養がつまったすだちは、さんまや松茸など秋の味覚に添えるのもおすすめですが、それだけじゃもったいない!――産地・徳島のように何にでもふんだんに絞って、とまではいかなくても、ぜひいろいろなお料理に合わせてみたくなりました。
有里さん、今回もステキなレシピをありがとうございました!有里:こちらこそ! 特に疲れを感じたときには、すだちでクエン酸チャージ、“アリ”だと思います。
* * *疲労回復に効果的な成分として知られるクエン酸は、含有量の多いすだちから摂るのが効率的。
すだちは、今回の茶碗蒸しはもちろん、和食を中心にさまざまな料理の風味を引き立ててくれるほか、シロップを作っておいて、炭酸水などで割って飲むのもおすすめです。
クエン酸たっぷりのすだちの力で、本格的に秋を迎える前に、夏の疲れを一掃したいですね。
レシピ考案:市橋有里いちはし・あり。
1977年11月22日、徳島県生まれ。
アスリートフードマイスター・料理研究家・ランニングアドバイザー。
1999年、世界選手権セビリア大会銀メダル獲得。
2000年、シドニーオリンピック日本代表。
「マラソン界のシンデレラ」とも呼ばれ、現在はランニングアドバイザーとして女性誌でランニングモデルをするほか、料理イベントをするなど、活躍の場を広げている。
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