食べることが大好きで、お腹周りはいつもふくよか。
そして、血糖値、コレステロール値、血圧が高め。
こんな人は、「内臓脂肪がついている可能性がある」と、『内臓脂肪を減らす食べ方』(日本実業出版社)の著書があるダイエット外来医師・工藤孝文さんは言う。
ただし、内臓脂肪はつきやすい反面、落ちやすい脂肪でもある。
お腹周りがふくよかだからとくよくよしても始まらない。
どう落とすかを考え行動に移す方が建設的だ。
そこで、自身も25kgの減量に成功した工藤さんに、食事によって内臓脂肪を減らす方法を教えてもらった。
買う量、作る量、食べる量を1割カット写真/ゲッティイメージズ内臓脂肪を減らす食べ方の第一歩は「食事の量を1割減らすこと」と、工藤さん。
「家族や親しい人と食事をする際には、相手がよければ先に自分の分を1割、あるいは1皿につき一口ずつ、合計量で大体1割食べてもらうのでもいいでしょう。
また、そもそもスーパーで食材を買う段階、作る段階で量を1割減らすのも有効です」子供が食べ盛りだからと多めに買って作ってしまう場合は、買う量と作る量を減らしつつ、自分の分を子供にあげるようにすればOKだ。
◇自分の食べ方の傾向を分析するなお、次のように自分の“食べすぎ傾向”を分析し、それに応じて1割減らす方法もある。
・食べるものが少ないと不安になる食いしん坊タイプ=買う量、作る量から1割減らす・ストレスでつい食べてしまう=いつもよりは少ない量で抑えてみる・空腹感、満腹感がわからない=食事中、いったん箸を置いて一呼吸してから1割減らす・早食い、大食い=一口あたりの噛む回数を増やして、食べる量を1割減らす・太る食べ物が好き=菓子パン、ジャンクフードを食べる回数を1割減らす・生活習慣が不規則=間食・夜食の量を1割減らす意外に思われるかもしれないが、工藤さんによると、ダイエットにNGな食べ物はないという。
「私は患者さんに、”何を食べてもいいですよ”と言っていますし、カロリー制限もしていません。
人によって体質が違うので食事指導はしませんが、代わりに、毎日体重を測って記録することと、前述の“食事は1割減らすこと”に加え、次の6項目の食事ルールを指導しています」痩せる食事の6原則とは?・空腹感が出たら食べる・お腹が空いているか迷うときは食べない・お箸を手放した回数を書いておく・空腹感が消えたら食べるのをやめる・空腹感が消えたか迷ったら食べるのをやめる・残り物はすぐ片付けるこの6つを守るだけで、脂質や糖質の多いおやつを食べても痩せる患者が多いという。
本当にお腹が空いたときだけ、それも前述のように食事量を1割減らして食べるだけで自然と食事の量が減り、苦しまずに痩せることができるそうだ。
「痩せる食事」を実践する食べ方とは?◇お腹が空いたときだけ食べる写真/ゲッティイメージズ食べ方の基本は、上の6項目だが、そのベースとなる考え方は「食べるのを待つ」ことだ。
お腹が本当に空いたときだけ食べる。
その目安は「お腹がグ~ッ」と鳴って少し時間を置いてからだという。
「お腹が鳴っているときは、“空腹期収縮”といい、十二指腸から分泌されるホルモンで胃が収縮し、胃の中にある食べ物の残りかすを掃除している状態です。
お腹が鳴ってすぐに食べると掃除が中断されてしまうので、鳴って少ししてから食べることが大事です」早食いも禁物だ。
「太っている人は大抵早食いです。
私たちが満腹感を得るのは、食事して糖質が分解され、血糖値が上がって脳の満腹中枢が刺激されたとき。
しかし満腹中枢に刺激がいくまでは20分ほどかかり、早食いの人はその間に食べすぎてしまいます。
ですから、早食いの自覚がある人ほどよく噛んでゆっくり味わい、食べすぎを防ぐべきです」◇早食いへの対策は「一口食べたら箸を置く」それがどうしてもできなければ、「一口食べたらいったん箸を置く」クセをつけよう。
箸を置くと同時に茶碗もテーブルに戻せば、自然とゆっくり30回ほど噛んで食事を味わう態勢になれる。
そうすると、その間に自然と空腹感は満たされていくはずだ。
ただし、食べてから30分以上経つと消化が進み胃の中にスペースができてしまい、「まだ食べられる」と脳に信号が送られてしまうので、30分以内に食べ終えるよう意識しよう。
ダイエットのニセ情報に振り回されないダイエットにまつわる偽情報や思い込みは数多い。
例えば、「水を飲んでも太る」「体にいい食べ物ならいくら食べてもOK」など。
「いずれも、間違った思い込みです。
太るメカニズムを一言で言えば、カロリー摂取量(食べた量)が、カロリー消費量(運動などでカロリー消費した量)を上回ること。
水を飲みすぎたあと一時的に体重が増えることはありますが、代謝が正常なら数時間で汗や尿として排出されるため、カロリーゼロの水を飲んで太ることはあり得ません」同様に、体にいいからと、特定のものばかり食べるのもおすすめできないという。
「“過ぎたるは及ばざるが如し”で、どんな食べ物でも適量を食べることが大事。
例えば納豆なら納豆だけを食べるのではなく、魚や肉などのたんぱく源を摂ることも必要です」おすすめの食事は「1975年の和食」写真/ゲッティイメージズ「和食なら何でもいい」というイメージを持つ人もいるかもしれないが、厳密には「1975年の和食」がベストだという。
東北大学の研究では、1060年から2005年までの日本人の食事の中で、最も健康効果が高く、老化を遅らせ、肥満を抑える効果が高いものは1975年の和食だった。
「1975年の食卓は、食の欧米化が始まる頃。
昔ながらの魚介類や大豆、果物、海藻などを使った和食をベースに、ハンバーグやクリームシチュー、サンドウィッチなど洋食の主食や主菜を少しだけ組み合わせるようになってきました。
おかげで、たんぱく源はほぼ魚だけだったのが、肉類や卵などの摂取量が少し増え、まさに“いいとこどり”な栄養バランスが実現したのです。
これが、悪玉コレステロールの低下、血糖値の低下につながり、肥満防止や長寿へと導いたのです」◇「1975年の食卓」10の特徴とは?1975年の食卓を具体的に表すと、こうなる。
日頃の献立作りの際の参考にしてほしい。
・少しずついろいろなものを食べる・洋食も少しだけ取り入れる・枝豆や納豆など豆類を多く摂る・1日に1~2個分の卵を取り入れる・ご飯を食べる・味噌汁は1日2杯・魚は毎日、肉は1日おき・調理は「煮る」がベスト・食後のデザートは果物・わかめやもずくなどの海藻類も多め“痩せるおやつ”を常備しておく写真/アフロあなたはおやつにどんなものを食べているだろうか。
いつも決まってスナック菓子や甘いものを食べている人は、痩せやすいものに切り替えてみてはどうだろうか。
工藤さんは、おやつは、血糖値の上がりにくいチーズやナッツ類、つまり痩せやすいものに決めておくことを推奨している。
「例えばチーズなら、不足しがちなカルシウム、脂肪燃焼を促すビタミンB2、美肌を作るビタミンAが含まれていますし、たんぱく質や脂質もはいっているのである程度の満足感を得られるでしょう。
ナッツ類は、糖質の吸収を穏やかにする食物繊維、代謝を促す不飽和脂肪酸、酸化を食い止めて老化防止に役立つビタミンEも豊富です」ただし、食べすぎてカロリーオーバーになっては元も子もない。
チーズならプロセスチーズを1日約60g、ナッツ類なら1日約25gまでにして、よく噛んで食べることが大切だ。
無糖ヨーグルトに、おからパウダーを入れるのもおすすめだという。
「おからパウダーは、良質なたんぱく質と豊富な食物繊維があり、お腹の中で膨らむので腹持ちも抜群です」もちろん、おからパウダーの代わりに、抗酸化作用の高いブルーベリーを入れてもOK。
ストレスにならない程度に、自分が満足できる「マイ痩せフード」を常備して、それを食べる習慣をつけると、より痩せやすくなるはずだ。
教えてくれたのは:工藤孝文さん福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。
ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、『あさイチ』(NHK)『ガッテン!』(NHK)『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)減量外来ドクター、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)肥満治療評論家・漢方治療評論家など、メディア出演多数。
日本内科学会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。
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