花粉シーズン真っ盛りの今。
マスクが手にはいらず、風の強い日などはくしゃみに悩まされる花粉症の人も少なくないだろう。
なんとか薬に頼らず、日々の食生活で改善できないだろうか。
工藤内科副院長の医師・工藤孝文さんに、食べ物による対処法を教えてもらった。
花粉症の改善は、腸内環境にかかっている!?写真/ゲッティイメージズ「食事で花粉症を緩和することは可能です。
食事はさまざまな栄養素をバランスよく摂るのは大前提ですが、そのうえで特に花粉症のかたは、乳酸菌や食物繊維を意識して摂取するといいでしょう」(工藤さん・以下同)乳酸菌は、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品に多く含まれている。
食物繊維は、野菜や果物、わかめなどの海藻に多い。
果たして、これらがなぜ花粉症の症状をやわらげるのか。
「これらに共通するのは、腸内環境を整えてくれる働きがあること。
実は、花粉症のカギを握るのは腸内環境と言われています。
アレルギー反応は、われわれ人間の体が持っている免疫システムが過敏に働いたことで起こります。
アレルゲンとなる花粉が体内にはいると、その抗体が作られてマスト細胞という細胞にくっつきます。
この状態でまたアレルゲンがはいると、抗体が反応し、マスト細胞からヒスタミンなどの生理活性物質が放出されて、目や鼻の神経と血管を刺激。
その結果、かゆみやくしゃみといった症状が出てくるのです」こうした免疫システムに大きくかかわっているのが腸内環境なのだ。
「腸内細菌は、口からはいってくる多くの病原菌から体を守ろうとします。
また食べ物のたんぱく質を異物と誤解して過敏な免疫反応を起こさないようにする働きもあるんです」花粉症の症状改善に効果的な食べ物とは?写真/ゲッティイメージズでは、具体的に何を食べるとよいか。
「まず、発酵食品と食物繊維を含むもので、日々の食事に一番取り入れやすいのは、ごはんのお供になる野菜の漬物でしょう。
いわゆるぬか漬けや野沢菜漬けですね。
これらは乳酸菌を含む発酵食品でありながら、善玉菌のエサとなる食物繊維も豊富です」漬物と一緒に食べるごはんは、白米を思い浮かべる人も多いだろう。
だが、腸内環境をよりよくするためには、食物繊維の豊富な押し麦やもち麦を白米にミックスさせた「麦ごはん」がおすすめだ。
「押し麦やもち麦は大麦の一種で、β-グルカンという食物繊維が豊富ですので、麦ごはんを食べる習慣をつけると、より多くの食物繊維が摂れます。
それが難しければ、シリアル食品にもβ-グルカンが豊富なオーツ麦が材料にはいっているものもあるので、原材料表示を確認したうえで購入するのもいいでしょう」汁物にも、発酵食品のみそ、食物繊維が豊富なわかめやオクラを入れた味噌汁を飲めば、さらによし。
いわゆる、昔ながらの和食が理想的だといえる。
ヨーグルトで花粉症の症状が緩和写真/ゲッティイメージズそして、食後やおやつには、ヨーグルトを。
「乳酸菌やビフィズス菌がはいったヨーグルトやヨーグルト飲料は、花粉症の症状を改善すると報告されています。
無糖タイプに、食物繊維が豊富な果物やきな粉を入れるとベターです」その果物も、例えばりんごなら皮をむかずにカットしたものを入れるとより多く食物繊維が摂れる。
このように意識して食卓を構成するだけで、腸内環境が整い、花粉症を始めとする不快症状がやわらぐなら試さない手はない。
この人に聞きました:工藤孝文さん減量外来・糖尿病内科医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランドとオーストラリアへの留学を経て、現在は福岡県みやま市の工藤内科で診療を行う。
日本内科学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学会、小児慢性特定疾病指定医。
『ガッテン!』(NHK総合)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)など、テレビ出演も多数。
YouTubeチャンネル『シックスパックのイケメン医師工藤孝文先生のダイエット外来』も配信中。
最新の著書は『内臓脂肪が落ちる!糖質オフスープ』(宝島社)。
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