entry-content">バスケットボールと野球の両スポーツで活躍した選手はいますが、マラソンとボディビルの両方で活躍、という話は聞きません。
「ボディビル的な筋肉強化のトレーニング」と「マラソンランナーとしての持久力強化のトレーニング」はまるで異なる結果を導き出すためです。
これは極端な例ですが、ボディビルとマラソンを比べると、運動の結果として顕在化した「体の形」はまるで異なります。
自分がどのようなカラダのタイプになりたいかによって、トレーニングの選択肢は変わります。
筋肉の丸みが強調されたカラダを作るには、有酸素系の運動よりも筋トレのプライオリティが高いのはもちろんです。
とは言うものの、筋トレで筋肉量をアップしてかっこいいカラダを手に入れたい人にとって、有酸素系の運動は不要なのでしょうか?また有酸素運動を取り入れるとしたら、どのような取り入れ方をすべきなのでしょうか?ここでは筋トレと有酸素運動の関係性を考察します。
Criteo.DisplayAd({"zoneid":355556,"async":false});目次1有酸素運動は必要ないのか1.1有酸素運動による血流量の増加1.2有酸素運動による心肺機能・全身持久力の向上1.3有酸素運動の脂肪燃焼効果2筋トレと有酸素運動を組み合わせる順番3減量中の有酸素運動は危険3.1コンチゾールに注意3.2有酸素運動の脂肪燃焼効果はそんなに大きくはない3.3筋肉を落とさずに脂肪を燃焼させるHIIT4目的や生活スタイルに合わせて有酸素運動と付き合う4.1目的によっては有酸素運動は必要ない4.2筋トレ効果を損なわない有酸素運動の取り入れ方有酸素運動は必要ないのか結論から言うと、過度な有酸素運動は、筋肉の合成にとってマイナス面が大きいことは否めません。
有酸素運動には、筋肉を分解する要素とともに、筋肉の合成促進に役立つ要素もあるのですが、有酸素運動の量を増やしても筋肉の合成は促進されません。
有酸素運動を行うことでカロリー不足の状態が起きれば、運動に必要なエネルギーを補給するために筋肉の分解が促進されてしまいます。
筋肉量を増やしたい人にとっては配慮すべき事態です。
ですが、有酸素運動を行うことで期待できる効果もあります。
有酸素運動に期待できることは以下。
血流量の増加心肺機能全身持久力の向上脂肪燃焼以下、それぞれの効果について説明します。
有酸素運動による血流量の増加まずは血流量の増加について。
血流が活性化することで、アミノ酸などの栄養成分の運搬と老廃物の除去がスムーズになります。
特に、これまで運動不足で血流が悪かった人にとっては、筋トレの効果をサポートするために、血流促進が期待できる有酸素運動を取り入れると良いでしょう。
有酸素運動による心肺機能・全身持久力の向上「全身持久力」とはいわゆる「スタミナ」です。
長時間身体を動かすことのできる能力のことです。
運動生理学の分野では、「最大酸素摂取量」という指標で算出します。
最大酸素摂取量とは「1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量」のことです。
酸素は体内で化学的なエネルギーを作るときに使われます。
そのため酸素の消費量が多ければ、エネルギーの生産量も多く、結果、身体を長く動かすことができます。
全身持久力が高い人は、抗酸化能力が高いというメリットも持ちます。
ハードな筋トレに適応できるスタミナが不十分な人の場合は、よりアグレッシブに筋トレを行うために、有酸素運動により全身持久力を向上させるのも良いでしょう。
有酸素運動の脂肪燃焼効果脂肪を分解するためには酸素が必要です。
そのため脂肪燃焼効果を望むなら、無酸素運動の筋トレではなく、有酸素運動が必要と言うことになります。
かつては、脂肪燃焼効果を望むことができる有酸素運動を優先して実施し、有酸素運動の後で筋トレを行うべきだと考えられていました。
ですが近年、筋トレの後に有酸素運動を行う方が、脂肪燃焼効果が得られることが判明しました。
筋トレと有酸素運動を組み合わせる順番体脂肪を落とすためには、脂肪組織の中の脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪を減らさなければいけません。
中性脂肪は、「ホルモン感受性リパーゼ」という酵素によって、「脂肪酸」と「グリセロール」に分解されます。
この分解された脂肪酸やグリセロールが血中に遊離し、筋肉などに取り込まれてエネルギーとして使われるのです。
この中性脂肪の分解には、「アドレナリン」や「成長ホルモン」などのホルモンが重要なのですが、これらは筋トレを行うことで分泌が促進されます。
よって脂肪燃焼を効果的に促進するには、成長ホルモンなどの分泌を促す筋トレを行なってから有酸素運動を行う方が効果的なのです。
また筋トレの前に有酸素運動を行うと筋トレ中の成長ホルモンの分泌が完全に抑えられてしまうという研究報告もあります。
この点を考慮すると、筋トレと有酸素運動を組み合わせる場合は、筋トレの後に有酸素運動を行うという順番を必ず守るべきでしょう。
減量中の有酸素運動は危険減量中だからこそ有酸素運動を行うと言う人も多いかと思います。
ですが、脂肪燃焼のための有酸素運動には有効性と同時にリスクがあることを理解して臨みましょう。
コンチゾールに注意長時間の有酸素運動は「コルチゾール」というホルモンを増やしてしまいます。
コルチゾールとは、副腎皮質で生産されるステロイドホルモンの1つで、主にストレスと低血糖に反応して分泌されます。
コンチゾールは筋肉を分解し、脂肪を増やし、糖新生を促進します。
糖新生とは、体内の糖質が枯渇した時に、生命活動のためのエネルギーを確保するため、体タンパクを材料にして糖を生成する働きのことです。
つまり有酸素運動でエネルギーを消費すると、不足した糖質を補うために、筋肉を作る体タンパクを分解して補充すると言うことです。
特に減量のため食事制限を行い、糖質の摂取量が少ない場合は注意が必要です。
減量のために糖質の摂取量を減らし血糖が低い状態で有酸素運動を行うとコンチゾールの分泌を促し、糖新生が進んでしまいます。
その結果、筋肉が痩せてしまうことも。
減量中の過度な有酸素運動は、痩せたと言うより「筋肉が萎んだ」と言うことになりかねないので注意が必要です。
有酸素運動の脂肪燃焼効果はそんなに大きくはない脂肪を燃焼させるのは有酸素運動だと前述しました。
ところが有酸素運動そのものによるエネルギー消費量はそれほど多くはないのです。
30〜40分程度のウォーキングを行なった場合、100〜150Kcal。
体脂肪1kg落とすには7200kcal必要です。
ウォーキングを30分で100kcal消費するなら、7200kcalを消費するためには36時間歩かなければいけません。
有酸素運動での脂肪燃焼の効率と、筋肉量を落とすかもしれないリスクを併せて考えると、筋肉量の向上を目指す人が脂肪を落とすための手段として有酸素運動を選ぶのは得策とは言えないでしょう。
筋肉を落とさずに脂肪を燃焼させるHIITHIIT(HighIntensityIntervalTraining)は、息が切れるくらいに強度の高い運動と、強度の低い運動を交互に行うトレーニング法です。
わかりやすい例で言えば、全力のダッシュとゆっくりと歩くのを交互に繰り返すように、高強度の運動と低強度の運動を交互に繰り返すトレーニング方法です。
筋トレで作った筋肉を維持しつつ、体脂肪を効率よく燃焼することで注目されています。
極めて負荷の高い運動を短時間で行うHIITは、糖とともに脂肪からのカロリー消費が大きく、トレーニング後もカロリー消費が高い状態が続くため、一般的な有酸素運動と比べると6倍の脂肪燃焼効果があるといわれています。
また、心肺機能のアップも期待できると考えられています。
こうしたトレーニング法は、減量のための有酸素運動が孕むリスクを回避するための一つの選択肢になるのではないでしょうか。
目的や生活スタイルに合わせて有酸素運動と付き合う目的によっては有酸素運動は必要ないしっかりと筋トレを行っている人の場合、目的次第では有酸素運動やHITTも必要ないかもしれません。
筋力・瞬発的なパワーの発揮とともに、持久力を要求されるようなスポーツのためのトレーニングであれば、有酸素系のトレーニングが必要です。
しかし、ボディメイク目的で筋肉量をアップしたい場合や、特に筋力や筋肉量の向上を目的にしている時期は、有酸素運動はトレーニング効果を抑えてしまう可能性があります。
また、脂肪を減らす目的の減量期も、まずは筋トレと食事の管理で体脂肪を落とすことを優先的に行うことが重要です。
前述したように、有酸素運動で消費できるカロリーを考慮すると、食事によるカロリーコントロールの方が効率的です。
もし全身持久力の向上やカロリー消費を目的に、有酸素運動をどうしても取り入れたいなら、ご自身のトレーニングスケジュールや回復力を考慮して実践しましょう。
筋トレ効果を損なわない有酸素運動の取り入れ方繰り返しますが、有酸素運動での脂肪燃焼効果を狙うなら「筋トレ→有酸素運動」の順番で必ず実施してください。
有酸素運動を先に行い筋肉のエネルギーが不足している状態では、筋トレのクオリティやトレーニング効率が下がるため、まずは筋トレを行います。
筋トレにおける成長ホルモンの分泌を阻害しないためにも筋トレを必ず先に行います。
また、筋トレにおいて分泌された成長ホルモンは脂肪燃焼を促進させるので、有酸素運動前に筋トレを行う方が効率的です。
適切な負荷をかけた筋トレをしっかりと行い、その後、軽め〜中程度の強度の有酸素性の運動を行うのが脂肪燃焼には効果的です。
脂肪の燃焼率は、「ややきつい」と感じる中強度の運動において高まります。
高強度の有酸素運動を頑張ると脂肪が燃焼するかというと、そうではありません。
目的が脂肪燃焼の場合は中程度の強度の有酸素運動を行いましょう。
中等度とは、「ややきつい」と感じる程度。
数値で言うと、最大酸素摂取量の50%程度、心拍数が安静時の1.5倍程度(100-120拍/分)の運動強度です。
まとめ体力を向上させるには、一般的には有酸素運動が重要です。
しかしいまの自分のトレーニングの目的が、筋肉量の向上・ボディメイクにある場合、まずは筋トレが優先されます。
ボディメイクのために減量が必要な場合は、有酸素運動の選択もあります。
その場合は、筋肉量を維持するためにタイミングや強度に配慮して実施しましょう。