ただでさえ、運動不足で栄養過多になりやすい現代。
そこにコロナ自粛が加わり、油断すれば誰もがメタボになりそうな状況です。
それはペットも同じ。
人と犬の健康寿命をともに延ばす身近な運動をご存じですか? さっそくワンちゃんと一緒に始めましょう。
【目次】散歩前の準備運動&犬のボディーチェック【インターバル速歩】緩急つけた歩き方で生活習慣病対策【坂を歩く】前重心や後ろ重心で筋力を鍛える【階段を歩く】筋力だけではなく“協調性”がカギ散歩前の準備運動&犬のボディーチェック犬との運動に最も身近で適しているのが散歩。
「毎日ただ歩くだけではもったいない」と言うのは、動物病院『ONEforAnimals』の認定動物看護師で理学療法士の石黑崇也さん。
人間相手の理学療法士のスキルを、動物看護師としてペットにも応用している石黑さんが提唱するのが、散歩前の犬のボディーチェックと、ワンランクアップの散歩術だ。
「毎日の散歩で持病が悪化したり、オーバートレーニングになるようではいけません。
元気なワンちゃんの場合、やりすぎて靭帯を傷めることもあるのです。
そのコの体の状態や筋力をチェックし、適切な量と頻度を守りながら、犬との散歩を工夫するのが重要です」(石黑さん・以下同)散歩前には、お座りや伏せの姿勢や、前足や後ろ足だけでの2本足立ち、3本足立ちをした際にふらつかないかなどのチェックが不可欠だ。
「ワンちゃんの左右の前足と後ろ足を線で結んでできる長方形の面を支持基底面と呼びますが、これが広いと安定して転びにくく、狭いと転びやすい。
この支持基底面をわざと狭くすることで、筋力やバランス感覚を確認できます」この支持基底面が狭くなる要因として腰が曲がっていることや、四肢の関節可動域が狭まっていることが疑われる。
加齢による変化の場合もあり、年齢へのケアも重要だ。
一方、若くて元気な犬なら、インターバル速歩や坂道、階段などワンランク上の散歩にも、ぜひトライしてみよう。
◆犬の散歩前ボディーチェック【1】「SIT!」と声をかけ、犬がお座りした際に、後ろから見て女の子座りになってないか。
【2】「DOWN!」と声をかけ、伏せの姿勢を上から見て体がまっすぐになっているか。
【3】後ろ足2本で立ったときに体が傾いたり、お尻が落ちたりしないか。
【4】片側の前足もしくは後ろ足をあげて、3足で立った場合に、お尻が落ちないか。
【5】線の上を歩くように後ろ足を前後にして立たせたときにふらつかないか、などを散歩前に確認。
◆準備運動は上半身ひねりから肩幅に足を開いて両手のひじを曲げたまま左右に広げ、つま先と顔は正面に向け、肩が前に出るように体をひねる(5~10回)。
◆小回り散歩で犬の状態を再チェック犬が小回りする際には体を弓なりにし、外側にくる足と内側の足の歩幅が変わる。
左右でどちらかが大回りにならないかを点検。
【インターバル速歩】緩急つけた歩き方で生活習慣病対策信州大学で開発されたインターバル速歩は、生活習慣病を改善する歩き方として注目の的。
続けると体力の向上に伴い、高血圧・高血糖・肥満などの数値も20%改善。
睡眠の質や認知機能の改善効果も期待できる。
そんなインターバル速歩を犬との散歩に取り入れるのも有効だ。
「犬と一緒に行う場合は、2分ごとに『お座り(SIT!)』と声をかけ、一度犬を座らせて切り替えさせるのがポイント。
ゆっくりと早歩きを繰り返す方が、犬にも人にも負荷がかかり効果的です」(石黑さん)◆犬と一緒に行う『インターバル速歩』の流れゆっくり歩き 2分↓さっさか歩き 2分↓ゆっくり歩き 2分↓さっさか歩き 2分↓ゆっくり歩き 2分2分ごとに緩急をつけた歩き方を30分程度繰り返す。
犬と行う場合、切り替え時に「お座り」と声をかけて座らせる(写真【1】)。
最初慣れなくても、次は早歩き(【2】)、次はゆっくり歩きと繰り返すうちに覚えるので安心を。
【1】お座り【2】早歩き◆インターバル速歩の姿勢のポイント<姿勢のポイント>・腕は直角に曲げて、前後に大きく振る。
・背筋を伸ばす。
・大きめの歩幅で、かかとから着地する。
・視線は下げず25mほど先を見る。
・足を前に出す際、後ろ足をしっかり蹴り出す。
※犬への声のかけ方は、「SIT」「DOWN」のほかにも、いろいろあります。
【坂を歩く】前重心や後ろ重心で筋力を鍛える平地と違い、坂道は傾斜を上り下りすることで犬や人にかかる負荷も断然大きくなる。
人間の場合は、二足歩行なので、坂の上り下りには足の前側の筋肉と後ろ側の筋肉を交互に使うことになるが、犬の場合は、上り坂では後ろ側に重心がかかるため後ろ足のトレーニングに、下り坂では前に重心がかかるため前足のトレーニングになる。
こうしたアップダウンの地形を犬の散歩コースに取り入れるといい。
【上り】上りでは臀部と後ろ足の筋肉強化が可能。
コンクリートより土や草の方が負担は少ない。
【下り】下りは、胸筋と前足の筋肉が鍛えられる。
犬の体力に合わせて行おう。
【階段を歩く】筋力だけではなく“協調性”がカギ「坂道の場合は、基本的に前足と後ろ足の筋力がどう使われるのかがポイントです。
階段では筋力アップはもちろん、同じ高さと幅の段差があることで、その高さに合わせて足を上げ、的確な場所に足を下ろす“協調性”という課題が追加されるため、脳と体の連携も鍛えることができるのです」上りと下りを反復すれば、人間も犬もまんべんなく足の筋肉を鍛えられる。
ただし、関節に負担がかかるので、関節の弱い犬や関節痛の人は、無理せず控えておこう。
取材・文/北武司 イラスト/青木宣人※女性セブン2021年1月28日号https://josei7.com/●ただ歩くだけじゃダメ!若返り&ダイエットを叶える「骨盤腸整ウォーキング」のやり方●【歩数計アプリ】ゲームに地図連動も!ウォーキングダイエットが楽しくなるアプリ5選●【オバ記者連載29】1日15分歩くだけの「インターバル速歩」を開始