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新型コロナ禍の影響で収入減や解雇になったら…生活を助ける「対コロナ緊急支援制度」

緊急事態宣言が延長されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、景気は先行き不透明な状況が続いています。

Ph/GettyImages厚生労働省の調査によると、新型コロナの影響で解雇や雇い止めとなった人は8万人を超えたことがわかっています。

また給与カットや休業により解雇ではないものの退職せざるを得なかった人を含めると、さらに多くの人が職を失っています。

このような状況のいま、いざというときに慌てないためにも、支援制度はおさえておきたいもの。

今回は、コロナで収入が減ったときに役立つ支援制度を、特定社会保険労務士の小泉正典さんの監修のもと紹介します。

【目次】突然、解雇されたら…「失業給付」や「未払賃金立替払制度」収入減少、生活困難になったら「緊急小口資金」や「総合支援資金」生活に困窮したときには「生活困窮者自立支援制度」や「住居確保給付金」* * *突然、解雇されたら…「失業給付」や「未払賃金立替払制度」【質問】新型コロナの影響で、夫の勤務先の経営が悪化して、いまにも倒産しそうです。

もし倒産したら、どうすればいいんでしょうか(45歳・主婦)【回答】長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響で、突然の倒産や解雇に直面するかたも増えています。

いざというときのために知っておきたい制度を紹介します。

Ph/GettyImages●再就職までの間の生活をサポートしてくれる「失業給付」もし失業してしまったら、再就職するまでの生活のために、雇用保険による失業給付(基本手当)の申請をしましょう。

失業給付が支給されるのは、以下、2つの要件に当てはまる人です。

・離職の日以前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算して12か月以上あること。

ただし、倒産・解雇などの会社都合による退職の場合は、過去1年の間に被保険者期間が通算して6か月以上あること・就職に積極的な意思があり、いつでも就職することができるのに就職できない状態であること※専業主婦(主夫)になるために退職した場合は、原則不支給となります。

妊娠・出産、病気療養中等の場合は受給延長申請制度があります。

申請手続きは、居住地を管轄するハローワークで行ってください。

もらえる給付額は、賃金日額(離職した日の直前の6か月に支払われた賃金から算出した金額 ※賞与は除く)の約45~80%×所定の給付日数。

給付日数は年齢や雇用保険への加入期間、離職事由などによって異なります。

失業給付の要件に当てはまらない人でも、ハローワークが必要と認めた場合は、パソコンスキルなどを学べる職業訓練を受講できます。

さらに、本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月25万円以下など一定の要件を満たせば、月10万円の職業訓練受講給付金を受け取ることができます。

→雇用保険制度を詳しく知る|厚生労働省●賃金が支払われないときは、「未払賃金立替払制度」を活用賃金が未払いのまま企業が倒産してしまった場合は、「未払賃金立替払制度」を利用しましょう。

全国の労働基準監督署などで手続きすることで、2万円以上の未払い賃金の80%を立て替えてもらえます。

ただし、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が定められています。

詳しい支給条件や金額は人によって異なります。

困ったときはひとりで悩まずに、ハローワークや労働基準監督署に相談してみることが大事です。

【ポイント】・自己都合による退職なら、決定から約3~4か月後、倒産・解雇などの会社都合による退職なら、約1か月後から失業給付を受け取ることができます。

・失業給付は、原則として離職日の翌日から1年間を限度として受給可能。

現在、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例」により、条件に当てはまれば60日間延長されます。

・失業給付の申請期限は、原則として離職日の翌日から1年以内。

・立替払いの申請期限は、裁判所の破産等の決定日、または労働基準監督署長の倒産認定日の翌日から2年以内。

・立替払いの対象は賃金及び退職手当で、賞与や税金の還付分、役員報酬などは対象外です。

→未払賃金立替払制度の概要と実績を詳しく知る|厚生労働省収入減少、生活困難になったら「緊急小口資金」や「総合支援資金」【質問】新型コロナの影響で、休業要請が続いて、収入が減ってしまいました。

子供の大学進学も控えているし、何か使える制度はあるのでしょうか?(52歳・会社員)【回答】収入が減ってしまったときに使える制度は、大きく分けて2つあります。

Ph/GettyImages●収入が減少した人がもらえる「緊急小口資金」新型コロナウイルス感染拡大の影響で、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になったときは「緊急小口資金」が利用できます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響による休業などで収入の減少があった場合、最大20万円のお金を無利子・保証人なしで借りることができる制度です。

据置期間(返済しなくても良い期間)は最長1年。

償還期限(返済しなくてはならない期限)は2年以内となります。

さらに、償還期限においても所得の減少が続く住民税非課税世帯は、返済を免除されます。

詳しい内容は、お住まいの市区町村にある社会福祉協議会か労働金庫に問い合わせてみてください。

●日常生活が困難になったら「総合支援資金」収入の減少や失業などにより生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対しては、「総合支援資金」という制度もあります。

2人以上の世帯で最大60万円、単身者で最大45万円を、無利子・保証人なしで借りることができます。

お住まいの市区町村にある社会福祉協議会に相談してみてください。

主に失業した人等向けですが、新型コロナウイルス感染症の影響での収入減の場合、失業状態になくとも対象となります。

緊急小口資金、総合支援資金ともに、給与振込明細や離職票など、収入が減少したことを確認できる書類が必要になります。

また社会福祉協議会では、低所得者の家庭に対して学費の補助となる教育支援金を貸し出しています。

例えば、神奈川県の場合ですと、高等学校等で3万5000円/月、大学で6万5000円/月を限度に無利子での貸し付けを行っています。

こうした制度をうまく活用してみてください。

【ポイント】・原則として、同時に緊急小口資金、総合支援資金に申し込むことはできません。

・現在、緊急事態宣言が出されたことにより、据置期間が令和3年3月末まで延長しています・会社から休業を余儀なくされた人は、会社から休業手当を受けることができます。

給付額は平均賃金の60%以上となります。

→緊急小口資金・総合支援資金制度概要を知る|厚生労働省生活に困窮したときには「生活困窮者自立支援制度」や「住居確保給付金」【質問】職を失い、家賃も払えず、生活に困窮しています。

このままでは、住む場所もなくなりそうです。

(62歳・無職)【回答】生活に困窮したときに使える制度は、以下の2つの支援を受けられる可能性があります。

Ph/GettyImages●仕事がない、住む場所がない…「生活困窮者自立支援制度」に頼ろう本当に生活に困ったら「生活困窮者自立支援制度」を利用してみてください。

これは、働きたいのに仕事がない、住む場所がないといった人が、個人の状況に応じて自治体からサポートを受けることができる制度。

福祉事務所などの支援員が、どのような支援が必要かを相談者と一緒に考え、状況に応じて、包括的な支援プランを作成してくれます。

例えば、離職して住む場所がなくなりそうな人なら、就職活動を行うことを条件に、一定期間、家賃相当額を支給するなどの支援を受けることができます。

頼れる親戚がおらず、家や車などの資産を売却しても生活に困窮している場合は、生活保護を受けることも考えるといいでしょう。

受給には細かい審査がありますが、新型コロナに関連して収入が減少している人も多いことから、通常よりも柔軟な対応がとられると考えられます。

●家賃相当額を自治体が支給してくれる!「住居確保給付金」住居を失うおそれがある人に対して、家賃相当額を自治体から支給する「住居確保給付金」制度もあります。

新型コロナウイルス感染拡大の影響によって収入が減少し、世帯の月収と預貯金の合計が基準以下の場合など要件を満たせば、家賃相当額が自治体から家主等に支払われます。

支給期間は原則3か月、新型コロナウイルス感染拡大の影響により令和2年度中の新規申請に限り最大12か月まで。

支給額の基準は自治体により異なりますが、東京23区の場合、単身世帯5万3700円、2人世帯6万4000円、3人世帯6万9800円が上限となります。

【ポイント】・生活困窮者自立支援の相談は無料。

秘密厳守で行われます。

・生活困窮者自立支援の内容は、就労支援、子どもの学習支援など多岐にわたります。

・詳しい内容は自治体によっても異なるので、まずは自治体や福祉事務所に問い合わせましょう。

→生活困窮者自立支援制度を詳しく知る|厚生労働省→住居確保給付金を詳しく知る|厚生労働省このように、さまざまな支援制度があります。

コロナによって困難な状況になった場合は、すぐにあきらめず、まずは自治体などに相談に行ってみてください。

※手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。

一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。

また、令和3年1月25日時点での内容となっています。

監修:特定社会保険労務士・小泉正典さんこいずみ・まさのり。

特定社会保険労務士。

1971年生まれ、栃木県出身。

明星大学人文学部経済学科卒。

社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。

専門分野は労働・社会保険制度全般および、社員がイキイキと働きやすい職場作りのコンサルティング。

監修書に『社会保障一覧表』(アントレックス)、『「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)など。

セミナーや講演も多数行う。

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