更年期には、気になる美容面にも不調が…。
肌のハリや髪のボリュームがダウンして鏡を見るのがイヤになったり、愛用してきた化粧品やシャンプーが合わなくなることも。
Ph/PhotoACそこで、婦人科医で成城松村クリニック院長の松村圭子さんに、更年期の美容トラブルのしくみと改善法を教えてもらいました。
* * *更年期の肌トラブル更年期になると、女性ホルモンの減少によって肌のハリや弾力がなくなってきたり、皮膚の乾燥やかゆみがおきやすくなります。
見た目の変化に気持ちが沈みそうになる人もいるかもしれませんが、前向きにケアを心がけていきましょう!◆肌の乾燥、かゆみ女性ホルモンには、肌のハリを支えるたんぱく質の一種であるコラーゲンの産生を促す働きがあります。
また、女性ホルモンの分泌が減ると、新陳代謝も低下してしまうので、肌の中にある保湿物質をつくる機能も衰え、肌が乾きがちになります。
そうして肌表面にある角質層の水分量が減ると、肌の質感も変化。
角質が厚くなり、固くごわついた肌になり、乾燥によるかゆみなどの症状が現れます。
さらに、肌が敏感になり、使い慣れたスキンケアアイテムが合わなくなることもあります。
◆体の内側と外側から保湿を肌の乾燥を防ぐには、保湿ケアをしっかりするのが一番なので、「寝ても覚めても保湿に徹する」こと。
Ph/GettyImagesスキンケアアイテムなどによる肌の保湿と同時に、水をしっかり飲むことも忘れてはいけません。
体の内側と外側の両方から潤すことが大事です。
◆たるみ、ほうれい線、毛穴の開き更年期を迎える40代後半頃から、肌のたるみが一気に進んできます。
これは女性ホルモンがどんどん減ることによる加齢現象です。
また、あごのラインのたるみや、ほうれい線、毛穴の開きが気になってくる人が増えるのも更年期世代の特徴。
その原因は、肌を内側から支えるコラーゲンやエラスチンの減少が原因です。
コラーゲンは先ほど説明したように肌のハリを保つ働きがあり、エラスチンはそのコラーゲンを束ねる繊維の働きをしています。
女性ホルモンの減少により、こうした繊維全体のネットワークが崩れて肌がたるむようになります。
◆食事やサプリでコラーゲンを摂る肌のたるみを防ぐには、土台となるコラーゲンを摂ることが大切。
コラーゲン含有量の多い手羽先、牛スジ、豚バラ、うなぎ、海老、クラゲなどの食材を意識してとりましょう。
さらに、コラーゲンの生成を助けるビタミンCを併せて摂ると効果的です。
コラーゲンドリンクやサプリを取り入れてもよいでしょう。
更年期の髪トラブル女性ホルモンは、実は育毛ホルモンでもあります。
更年期はそのホルモン分泌が減ってしまうため、髪にもさまざまな変化が現れます。
その対策をお教えしますので、無理せずできることから実践してみてください。
◆抜け毛、薄毛、ハリ・コシがダウン女性の髪を豊かに保つのは、女性ホルモンのエストロゲンの働きです。
女性ホルモンがピークを迎える20代後半~30代前半は比較的髪の状態がよく、ボリュームもあり、ツヤやかですが、更年期に入るとエストロゲンの分泌量が急激に低下して、髪のハリやコシがなくなる、髪がパサつくなど髪質がダウン。
Ph/PhotoAC頭皮の血行や新陳代謝が悪くなるため、抜け毛が増えて髪のボリュームが減ったり、髪の毛そのものが細くなったりします。
さらに卵巣からの女性ホルモン分泌がほぼなくなる閉経後は、薄毛が目立ってくることもあります。
◆栄養と睡眠が大切改善法としておすすめなのは、食事と睡眠の見直しです。
これから生えてくる髪を美しく保つためには、髪の栄養が大切なのです。
食事は、髪の主成分であるたんぱく質をしっかり補い、ビタミン、鉄、亜鉛、マグネシウムなどの栄養素も摂りましょう。
また、髪を健康に成長させるには、睡眠も重要。
髪の成長は睡眠中に活発になるからです。
せっかく摂った栄養をムダにしないためにも、夜更かしせずに早めに眠るようにすることが大切です。
◆ヘアケアアイテムの見直しも髪は年齢とともに変化します。
現在の頭皮の状態や髪質にあったヘアケア製品を選びましょう。
頭皮の血行をよくすると、髪に栄養が行き渡りやすくなるので、頭皮マッサージもおすすめです。
Ph/GettyImages美容の大敵・紫外線は髪にとっても大問題。
紫外線を浴びると頭皮に負担がかかり、抜け毛につながりますし、髪をパサつかせる原因にも。
帽子や日傘、UV防止効果のあるヘアスプレーでガードしてください。
教えてくれたのは:成城松村クリニック院長・松村圭子さんまつむら・けいこ。
1969年生まれ。
日本産科婦人科学会専門医。
成城松村クリニック院長。
広島大学医学部卒業。
広島大学附属病院などの勤務を経て、現職。
若い女性の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけ、アンチエイジングにも精通している。
生理日管理を中心としたアプリ「ルナルナ」の顧問医。
西洋医学のほか、漢方薬やサプリメント、各種点滴療法なども積極的に治療に取り入れている。
著書に『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『これってホルモンのしわざだったのね』(池田書店)など多数。
https://www.seijo-keikoclub.com/構成/森冬生●唇や肌が乾燥する人の月経不順や更年期障害には「温経湯」を【漢方でカラダケア】●食べる乾燥対策!美容パワーたっぷりの最強食材で作る「炊き込みご飯」【市橋有里の美レシピ】●シャンプーを手で泡立ててから洗うのはNG?専門家が教える正しいシャンプーのやり方