【今週の読みたい本】ジャルジャル福徳秀介の小説デビュー作など4冊
なんとなく忙しい気分になる12月ですが、やるべきことを終えた1日の終わりに、ゆっくり読書しませんか?キングオブコント2020で優勝した、お笑いコンビ・ジャルジャルの福徳秀介の小説家デビュー作や、本屋大賞を受賞した、瀬尾まいこさんの新書など、合計4冊の本をご紹介。
【目次】【単行本】『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』福徳秀介【単行本】『夜明けのすべて』瀬尾まいこ【単行本】『ロッキード疑獄角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』春名幹男【文庫本】『「本をつくる」という仕事』稲泉連【単行本】『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』福徳秀介◆「ジャルジャル」の福徳秀介、小説家デビュー。
ラストの「今日の空」は桜満開『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』福徳秀介 小学館 1500円関西大学2年生の「僕」こと小西徹。
ミックス方言を喋る山根と学食で昼飯を食べ、深夜は「めめ湯」で清掃のアルバイト。
そんな単調な日々の中、「僕」は大教室で見かけるお団子頭の"孤高の女の子"が気になってならない。
その桜田花に「僕」の想いは届くのか?改稿に3年半かけた本気度満点の青春恋愛小説。
時期同じくして著者は結婚も発表。
私小説的要素もある、のかな?今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は【単行本】『夜明けのすべて』瀬尾まいこ◆本屋大賞受賞後、第1作。
パニック障害になった著者からの贈り物『夜明けのすべて』瀬尾まいこ 水鈴社 1500円月に1度、感情を制御できず針の言葉で人を攻撃してしまう美紗。
仕事中に絶え間なく炭酸水のカンを開けて飲み続ける山添。
美紗はPMS(月経前症候群)で、山添はパニック障害で今の会社に転職してきた。
転落感の激しい山添に美紗は屈託ないおっせっかいを焼き始める。
雇均法以後の同僚小説にさまざまあれど、本書は2人を見守る職場の人々の視線の温かさに癒やされる。
夜明けのすべて【単行本】『ロッキード疑獄角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』春名幹男◆田中角栄の陰で口をぬぐった面々。
CIAが暗躍した日米外交史&安保史に息をのむ『ロッキード疑獄角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』春名幹男 角川書店 2400円田中角栄のロッキード事件には様々な陰謀説が。
ニクソンの罠説、資源外交で米国の虎の尾を踏んだ説。
米の資料を読み込むなど15年の歳月をこの調査に注ぎ込んだ著者は、類書が量産された陰謀説を1つ1つ潰していく。
残ったのはキッシンジャーの田中への怒りと憎悪、そして岸や中曽根らが手中にした「安保利権」。
後者の闇は今も深い。
年末年始のじっくり読書にどうぞ。
ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス(角川書店単行本)【文庫本】『「本をつくる」という仕事』稲泉連◆本は高いけれど、このルポを読めば、決して高くないことが分かるはず『「本をつくる」という仕事』稲泉連 ちくま文庫 740円大宅賞作家が本づくりに携わる人々をルポする。
ドイツで製本マイスターの資格をとった青木英一さん、廃業した叔父譲りの機器で活版印刷工房を営む渓山丈介さん、定評ある新潮社で長年校閲を担当した矢彦孝彦さん、神奈川近代文学館(ここの企画はいつも秀逸)で愛おしそうに漱石本を見つめる装幀家の日下潤一さん。
不覚にも泣きそうになる。
本に対する愛情の純度に。
「本をつくる」という仕事(ちくま文庫)文/温水ゆかり※女性セブン2020年12月10日号●【今週の読みたい本】ヤマザキマリがコロナで「たちどまって考えたこと」を綴った新書ほか4冊●【今週の読みたい本】直木賞作家・辻村深月さんの”普段着エッセイ”他、この秋のおすすめ4冊●【美のプロが愛するコンビニ飯】痩身研究家の“食物繊維”を優先した軽食選びとは?