【63歳オバ記者のリアル】施設に入所した母ちゃん、初のリモート面会で浮かべた照れ笑い
バツイチ独身のライター・オバ記者(63歳)が、趣味から仕事、食べ物、健康、美容のことまで”アラ還”で感じたリアルな日常を綴る人気連載。
228回目となる今回は施設にはいった92歳の母ちゃんのこと、友人と行ったお茶会のこと、そして駅そばの話です。
* * *母ちゃんが入所してホッとした母ちゃんが老健(介護老人保険施設)に入所して2週間。
ほんとうにホッとしたわ。
なにせ実家の寒さといったら、頭をぶん殴られ続けているみたい。
あの中で92歳の足の悪い老婆が寝起きしていると思っただけで、いてもたってもいられなくなる。
実家は、4年前に亡くなった宮大工の弟が22歳のときに建てたもの。
生前、文句を言ったら、「寒いのは日本建築の宿命だ」とぬかしやがった。
てか、21歳のかけ出しの大工は年老いた人間のことなんか、想像したこともなかったんだと思う。
初のリモート面会で母ちゃん「元気だよ」入所した施設はコロナ対策で家族の面会はできないけれど、月に2度、リモート会話ができる。
「母ちゃん、元気かよ」「でヘヘヘ。
元気だよ」これまで何度も末の弟(52歳)の操作でリモート会話をして慣れているはずなのに、家と施設では勝手が違うのかしら。
しきりに照れ笑いをしている。
「寒くなくてよかったなぁ」「ああ、ここはあったかくていいよ~」「リハビリは?」「やってるよ。
頑張って春になったら家に帰って畑やんだがら」母ちゃんは私には前向きなことしか言わないんだよね。
友人にお茶会に誘われた12月6日に国会は閉会して、めっきりアルバイトの私の出勤日は少なくなって、週に1~2日だけ。
議員会館は標高が高くて、人口密度は低いから、気持ちいいのよね。
この日は参議院の議員会館に届け物をしたついでに、議事堂が見渡せるところで記念撮影をしちゃった。
それにしても今年ほど、東京と茨城の実家を行き来した年ってなかったわ。
だから東京にいるとなんとなく田舎が気になって仕方がない。
そんなときに小学生の時からの友だちE子に、お茶会に誘われたの。
「お濃茶とお抹茶の二席、参加費さえ払えば誰でも列席できます」と言ってもそこはほら、お茶道。
然るべき紹介者がいてのこと。
この日は、茶道を習い始めた幼なじみのY子も着物を着て参加した。
じゃあ、私も嫁入りしたとき、母ちゃんが作ってくれた着物を着ようかしら、なんてムリムリ。
畳にちょうどいい肩幅がある実は私、40代半ばに一年近くお茶のお稽古に通ったことがある。
そのとき思い知らされたのが、肩幅と畳の比率なの。
「着物は”ヨコタテ”あったほうが見栄えがします」なんて呉服屋さんからしきりにいわれたけど、ウソ、ウソ、大ウソよ。
痩せたってダメ。
肩幅は変わらないもの。
畳の幅にちょうどいいのは、肩幅38cmまでよ。
44cmの私は、茶席の置き石のようになって、この道ン十年の茶人たちの話を黙って聞いているしかないんだけどね。
しゅんしゅんとお湯の沸く音の中、気配を消して座っているのは、なんともいい気持ち。
お寺の煤払いに使う笹の木の先に、参加者が来年、払いたいことを紙に書いて結んで、茶席の結界にするセンス。
こういう上質な遊びに混ぜてもらうと、ああ、日本に生まれてよかったなと思うんだよね。
寒波の中すすった駅の田舎蕎麦がたまらない日帰りで東京に帰ろうとしたら、東北地方に大雪を降らせた寒波が、鉄道のレールを伝わってきて、地団駄を踏みたいほど寒い。
宇都宮線の小山駅のホームで、熱々の鶏皮旨煮そば(450円)をすすることにした。
丼から伝わる手の温さと、無骨な鶏皮の風味と、たっぷりの刻みねぎ。
そして田舎蕎麦の味がたまりません。
あ、上野東京ラインが入ってきた!「白線の後ろまでお下がりくださ~い」あ、もうダメだ、あ、いや、もうひとすすり! のっぴきならない発車時間と格闘するのも、駅そばの醍醐味よね。
オバ記者(野原広子)1957年生まれ、茨城県出身。
『女性セブン』での体当たり取材が人気のライター。
同誌で、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。
バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。
一昨年、7か月で11kgの減量を達成。
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