アフター更年期を生き生きと過ごすコツ|注意すべき病気と今からやるべき対策
更年期の乗り越え方を知ると同時に、更年期後の生活を考えることも充実した人生を送るヒントになります。
Ph/GettyImages婦人科医で成城松村クリニック院長の松村圭子さんに、加齢による病気のリスクが高まるというアフター更年期の注意点を教えてもらいました。
* * *人生100年時代の女性のライフステージ更年期の長いトンネルを抜けると、女性は新しいライフステージにはいります。
Ph/GettyImages◆閉経後も人生は30年以上続く女性ホルモンがほぼゼロになる閉経の年齢は、50歳前後と昔も今もほとんど変わりません。
ところが、ライフスタイルの変化とともに平均寿命が大きく延びて、2020年には87歳に。
昔の女性は閉経の頃に寿命がきたのに、現代の女性は閉経からさらに30年~40年も生きることになります。
せっかく長命となった現代女性ですから、生き生きと過ごしたいですよね。
◆健康寿命は寿命マイナス12年このように更年期後の人生は長いのですが、日常生活を制限されることなく過ごせる「健康寿命」は寿命マイナス12年といわれています。
もちろん個人差はありますが、最後の12年間は支援や介護を必要とするなど、健康上の問題で日常生活に支障が出るといいます。
そこで、美容や健康のカギとなっていた女性ホルモンのバリアがないとどんなことが起こるのかを知り、意識して生活することが、この12年をいかに短くできるかということにつながっていきます。
特に気をつけるべきこと女性にとっての「お守りホルモン」のエストロゲンが失われた更年期後は、骨や血管が弱くなったり、代謝が悪くなったりします。
すると、どんな症状が起こりやすくなるのでしょうか。
予防のための心がけとあわせてご紹介します。
◆動脈硬化特に気をつけたいのが、動脈硬化です。
女性ホルモンには血管をしなやかに保つ働きがあり、分泌がほぼなくなる更年期後は血管の柔軟性が低下します。
さらに、脂質代謝の低下で血管に悪玉コレステロールが溜まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などといった病気を招く原因になります。
生活習慣の見直しや、定期的に検診を受けることで健康を維持するよう努めましょう。
Illust/GettyImages更年期後は血液をサラサラにする、「オサカナスキヤネ」を意識してください。
より積極的にオ(お茶)、サ(魚)、カ(海草)、ナ(納豆)、ス(酢)、キ(きのこ)、ヤ(野菜)、ネ(ネギ)の食材をとるようにすることが予防につながります。
◆高血圧血管の柔軟性の低下は高血圧の原因にもなります。
血圧が高くなっても、初期にはほとんど自覚症状がありません。
知らないうちに血管や臓器に負担をかけてしまうため、注意が必要です。
老年期はもちろん、更年期世代にも毎日血圧を測ることをおすすめします。
塩分の摂りすぎを抑えることも大切です。
薄味での調理を意識したり、減塩の調味料を取り入れたりなど、今のうちから少しずつ食事を変えてみてはいかがでしょうか。
◆骨粗しょう症女性は閉経してから10年で骨密度が約20%落ちるといわれています。
骨粗しょう症は、骨がスカスカになり骨強度が落ちて骨折しやすくなる状態をいいます。
骨折は生活の質が下がるほか、高齢になると寝たきりにも直結してしまいます。
骨粗しょう症を予防するには、食事と運動が有効です。
骨を作る原料になるカルシウムとビタミンD、たんぱく質を意識して摂りましょう。
また、運動によって骨を作る細胞が刺激されるので、定期的に体を動かして骨に刺激を与え続けることも大切です。
骨の強度を上げて骨折を防ぐことは、健康寿命を延ばすためにとても重要です。
◆認知症更年期後は、認知能力に関係する女性ホルモンがほとんど分泌されなくなることで、認知症のリスクも高まります。
刺激が少ない生活を送っていると認知症になりやすいので、意識して他人と交流したり、新しい勉強や趣味を始めたり、夢中になれるものを見つけたりするとよいでしょう。
また、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、糖尿病や脳血管障害など生活習慣病と関係が深く、これらの病気の予防が間接的に認知症を防ぐことにもなります。
メンテナンスしながら楽しく生きる更年期を過ぎると、ますます体のメンテナンスの重要性が高まります。
誰にでも起こりうることだからこそ悲観せずに、定期的に検診を受けて自分の健康状態を把握することが充実した人生へと続く道となります。
信頼できるかかりつけ医がいないかたは、この機会に探してみることをおすすめします。
Ph/PhotoACアフター更年期世代にも「食事・運動・ときめき」は重要。
これまで以上に体をいたわりながら、新たな人生のステージを楽しみましょう。
教えてくれたのは:成城松村クリニック院長・松村圭子さんまつむら・けいこ。
1969年生まれ。
日本産科婦人科学会専門医。
成城松村クリニック院長。
広島大学医学部卒業。
広島大学附属病院などの勤務を経て、現職。
若い女性の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけ、アンチエイジングにも精通している。
生理日管理を中心としたアプリ「ルナルナ」の顧問医。
西洋医学のほか、漢方薬やサプリメント、各種点滴療法なども積極的に治療に取り入れている。
著書に『10年後もきれいでいるための美人ホルモン講座』(永岡書店)、『これってホルモンのしわざだったのね』(池田書店)など多数。
https://www.seijo-keikoclub.com/構成/森冬生●更年期を“幸年期”にするコツ|家事もたまには手抜きを。
少しいい加減ぐらいでOK●ホルモンバランスを整える「桃核承気湯」で更年期太りや便秘対策【漢方でカラダケア】