【今週の読みたい本】ヤマザキマリがコロナで「たちどまって考えたこと」を綴った新書ほか4冊
気が付けばもうすぐ12月。
いつもとは違う年末になりそうな今年は自宅で過ごす時間が多くなりそう。
テレビや映画を見るのも楽しいが、たまには本でも読んでみませんか?そこで今、読んでおきたい4冊をご紹介。
人気作家のエッセイや、文豪が書き上げた恋愛小説など多ジャンルのものをピックアップ。
お気に入りの1冊が見つかりますように。
【目次】【新書】『たちどまって考える』ヤマザキマリ【単行本】『見果てぬ花』浅田次郎【新書】『民主主義とは何か』宇野重規【文庫本】『春の雪 豊饒(ほうじょう)の海(一)』三島由紀夫【新書】『たちどまって考える』ヤマザキマリ◆新型コロナをきっかけに考えたこと。
不条理な状況下から名作や名画は生まれる『たちどまって考える』ヤマザキマリ 中公新書ラクレ 840円著者はコロナ禍で日本滞在を余儀なくされた。
イタリア人がマスクを嫌う理由を解説し、国の指導者が持つべき弁証力(=教養)を論じ、映画や本に多く触れる中、自由を拘束された状態で触れる方がずっと感慨が深いことも自覚する。
小津安二郎や黒澤明、三島由紀夫や安部公房、小松左京など「(戦後という)不条理のもとでしか育たない感性がある」との明察にはっとさせられる。
たちどまって考える(中公新書ラクレ)【単行本】『見果てぬ花』浅田次郎◆落雷、愛猫失踪、5kg減のダイエット。
笑いとぼやきと落語的オチの日常『見果てぬ花』浅田次郎 小学館 1600円仕事もままならない猛暑の午後、空がにわかにかき曇る。
頭上で炸裂する稲妻、落雷、そして停電。
クーラーもテレビも温水洗浄便座も使えず、冷蔵庫の開閉など論外。
仕方ない、健康ランドの湯につかりながら復旧を待つかと支度して車庫に行けば、ムム、電動シャッターという”壁”が。
そんなオチに大笑い。
JAL機内誌に連載する人気エッセイ集の第5弾。
今回もクスクス。
見果てぬ花【新書】『民主主義とは何か』宇野重規◆デモクラシーとは主義ではなく統治形態のこと。
「参加と義務」の有り様が問われる『民主主義とは何か』宇野重規 講談社現代新書 940円著者は任命拒否された日本学術会議の候補者の一人。
その直後から著者の講義動画がYouTubeで見られるようになり、ワォなんてお得と夢中になった。
驚くことにその講義の口調とこの本の文体がまったく同じ。
人なつっこい。
古代ギリシャから読むのがさすがに辛いなら、フランス革命あたりからでも。
世界はまだ民主主義国家のほうが少数。
ポピュリズムとの親和性も考えたい。
民主主義とは何か(講談社現代新書)【文庫本】『春の雪 豊饒(ほうじょう)の海(一)』三島由紀夫◆古典美を追求した恋愛小説。
物語は松枝清顕が転生する第二巻へと続く『春の雪 豊饒の海(一)』三島由紀夫 新潮文庫 800円三島の自決は1970年11月25日。
今年没後50年になるのを機に、大河の4部作『豊饒の海』が新装版に。
この第一巻では、新興華族(元武家)の子息で18才の松枝清顕と、由緒正しい公家華族の令嬢で2才年上の綾倉聡子の禁断の恋を華麗に端正に描く。
三島の貴族精神が横溢、小池真理子さんは新解説で「彼らの思いつめた吐息が、こちらのうなじにそっとふきかけられてくる」と。
豊饒の海第一巻春の雪(新潮文庫)文/温水ゆかり※女性セブン2020年12月3日号●【今週の読みたい本】直木賞作家・辻村深月さんの”普段着エッセイ”他、この秋のおすすめ4冊●【30秒心理テスト】ダイエットの敵は自分自身!あなたの食べすぎの原因になっている感情は●お尻、太もも、二の腕もラクに筋トレ!エキセントリックトレーニングとは?