【63歳オバ記者のリアル】勇気を出して23歳年下男子を映画デートに誘ったら…
バツイチ独身のライター・オバ記者(63歳)が、趣味から仕事、食べ物、健康、美容のことまで”アラ還”で感じたリアルな日常を綴る人気連載。
238回目となる今回は、「健康」「デート」「ひつまぶし」について。
* * *診療所を三軒ハシゴして発覚したのは…言ったことはやる。
これ、人として当たり前のことだけど、それがなかなかできない、てか、おっくう。
ずるずる一日先伸ばしにしているうちにタイムアウト。
そんなことが年々、多くなってきた。
そのくせ、おせっかいは止まらない。
「最低限、区の健康診断は受けるべき。
Nさんはお金持ちなんだから、自由診療で人間ドックを受けたほうがいいって」まったくどの口が言うよ。
私自身は昨年もその前もパス。
さらに今年は絶対!と思っているうちに、期限が迫ってきて、ヤダ、明日までじゃない! さぁ、どうする。
と、切迫つまった翌日。
軒並み「予約でいっぱいでーす」と断られた健康診断を、引き受けてくれた内科医があったの! さっそく行ったその足で、耳鼻科、眼科と、神田駅周辺の診療所を三軒ハシゴ! 私、すごくない?理由はひとつ。
N氏に大口を叩いた手前、自分がズルケたらかっこ悪いって、それだけなんだよね。
結果、命ぴろいしちゃった。
眼科で緑内障と白内障が見つかり、放っておいたらヤバいことになっていたの。
診療所に行く途中、早咲きの桜が咲いている道があった。
視力を失ったら、その景色も消えるんだなと思ったら、ゾッとしたわよ。
映画に誘ったのは俳優で人気シンガーのカレその数日後、渋谷で映画『すばらしき世界』を観た。
法務省のお役人で元刑務官のI氏が、「刑務所のシーンがすごくリアル。
いい映画ですよ」と熱く語るのを聞いて、「観る~っ」とその気になったものの、映画を観るのは10年ぶり。
いざとなると腰が重いったらない。
と、そのとき、ピコーンとひらめいたの! そうだ、ミュージカル『レ・ミゼラブル』にも出演した、”カラオケ100点おじさん”の佐々木淳平氏を誘おうか、と。
これを思いついたとたん、体中に熱い血が巡りだしたんだから、われながら呆れるわ。
淳平氏は、ただの40男じゃない。
YouTubeのチャンネル登録者数約15万人で、歌を配信すれば数分後に争うように書き込みが集まる人気シンガーで、俳優として舞台経験も豊富。
コロナ禍じゃなければ、映画に誘う勇気は湧かなかったと思う。
『すばらしき世界』は、いやいや、こんなに気持ちよく泣ける映画ってあったかしら。
と、映画通でもない私が言うのもナンだけど、6割の入りの客、本編が終わってキャスト、スタッフの名前が流れているのに、誰ひとり席を立たないのよ。
「いやあ、いい映画でしたね~」淳平氏もそう言いながら、なかなか立ち上がらない。
で、渋谷の老舗台湾料理店で、感想会。
刑務所から13年ぶりにシャバに出た、元ヤクザの、実話を元にした物語だけど、主役の役所広司がいかにいい俳優か。
「キレるまでが、ヤバいくらい自然なんすよね」と、演者の視線で淳平氏が語れば、私は長澤まさみが演じたテレビプロデューサーのヤクザっぷりに感心。
で、結局、「西川美和監督、すげー」に落ち着く。
88歳の建築家と”うなぎランチ”その数日後、今度は10年前に末期がんの宣告を受けながら、いまだに酒、タバコをやめない88才、建築家のO氏とうなぎランチをした。
「でさ、そのケチな歌舞伎役者から、どうやって設計料を取ったの?」親世代のO氏は、「冥土の土産」と言って、聞いたら何でも話してくれる。
だけど面白すぎて、危なすぎて、人に話せないのが難なんだわ。
と、息子代わり、父親代わりとは、充実の春を過ごしたけど、それはそれ。
次はど真ん中、ストライクの同世代のボーイフレンドと、むふふ!(妄想)オバ記者(野原広子)1957年生まれ、茨城県出身。
『女性セブン』での体当たり取材が人気のライター。
同誌で、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。
バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。
一昨年、7か月で11kgの減量を達成。
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