ステイホームで深刻に。結婚25年、夫婦の会話が”復活”する方法は?【コロナ禍の夫のトリセツ】

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結婚生活も長くなればなるほど、夫婦の会話は減る一方…。

一緒の時間を過ごしても、話すことが見つからない。

そんな夫婦がコミュニケーションを復活させることはできるのでしょうか。

Ph/GettyImagesベストセラー『夫のトリセツ』(講談社)の著者で、男女脳の違いに詳しい脳科学・人工知能(AI)研究者の黒川伊保子さんに、夫婦のコミュニケーションについての悩みに答えてもらいました。

【目次】【相談】在宅勤務で過ごす時間が増えても会話は増えず…夫婦の会話を復活させるには?夫婦間では「満ち足りた対話」は難しい夫婦と共通の「三角形」で会話を増やす夫婦円満の本当のコツは「沈黙」「女性の話が長い」と言われる理由男性の話が長いときは「さしすせそ」で乗り切る* * *【相談】在宅勤務で過ごす時間が増えても会話は増えず…夫婦の会話を復活させるには?「もともと夫婦の会話は少なく業務連絡程度でしたが、コロナ以前は夫の帰宅時間が遅かったこともあり、あまり気にしていませんでした。

しかし、夫が在宅勤務になって一緒にいる時間が増えたのにもかかわらず、会話は全く増えません。

このまま一生一緒に過ごすことを考えたらゾッとします。

結婚して25年以上経つので、お互いに新鮮さはありませんが、夫婦の会話やコニュニケーションを復活させるにはどうしたらよいでしょうか」(55歳・専業主婦)** *夫婦間では「満ち足りた対話」は難しい夫婦は、会話しないほうが平和なんですよ(微笑)。

だって、互いの脳が、基本「反対側」を選ぶようになっているから、「しみじみとした共感」なんて、ほとんど起こりえないからです。

Ph/GettyImagesというのも、夫婦は、互いの生存可能性を上げるために、とっさに、相手と違う行動を選択する傾向が強いからです。

大きな音が「バン!」となったら、どちらかが走り出し、どちらかがしゃがみ込む、のように。

2人だけの関係性で言えば、「どうして、今、それをする!?」となってストレスなわけですが、系で見れば、その方が有利。

行動のバリエーションが豊富なほど、この男女とその子孫が生き残る意可能性は高いから。

会話においてもそう。

どちらかが共感型を選択すれば、どちらかが問題解決型を選択する傾向高し。

共感してほしくて投げかけた言葉に、「それっていつ?」「どうして、そんなことしたんだ?」なんて問い詰められて、あげく「きみも悪いよ」なんて言われたりして。

脳がとっさに反対側を選ぼうとしている以上、なかなかありえないこれ、男女が逆転してもそうなるんです。

珍しく夫が共感型を選んだら、いつもは共感型の妻がクールな問題解決型になったりして。

妻も夫も、なかなか相手のことばに、「そうそう、わかる。

ほんっと、あなたの言う通り」なんて言えない。

また、2人の意見が一緒だったときも、「ほうら、私(俺)の言ったとおり」とダメ押しする感じになりがち。

脳がとっさに反対側を選ぼうとしている以上、夫婦の間に満ち足りた会話なんて、なかなかありえないわけです。

それがわかっているから、多くの夫婦は、やがて対話をしなくなっていくのでしょうね。

夫婦と共通の「三角形」で会話を増やす夫婦で対話をしたいのであれば、ガチに向き合わないで、第三の対象について話すこと。

「三角形」を作ることです。

Ph/GettyImages例えば、ペットを飼う、一緒に植物を育てる、食べ歩き、山歩き…どんなことでもいいと思います。

共通の趣味がないと、用事を頼んだり、都合を聞いたり、愚痴を言ったり、ガチで向き合う話題ばかりになり、ギスギスしてきます。

けれど、2人で心惹かれているものがあれば、「今日、タマがね」とか「庭のバラがそろそろ咲きそうだよ」とか、互いを主語にしない会話が展開できて、カウンターバランス(対極の関係)になりにくいわけ。

うれしいことや楽しいことを共有して夫婦が互いに向き合うのではなく、対象(目標)に向かってに一丸となる。

そういう意味では、病気やトラブルなども功を奏することがあります。

逆境のときは、夫婦って、案外絆が強いんですよね。

けれど、意図的に対象を作るのなら、せっかくだから、うれしいことや楽しいことを共有しましょうよ。

野菜や花を育てる、日本中の城を見に行く、お遍路周りをするなど、変化や成果のわかるものがおススメ。

男性脳は目標があると活性化するので、単純に旅行をするよりも「日本中の城を見に行く」という目標があるほうが取り組みやすいのです。

ぜひ、夫婦で共有できることを探してください。

夫婦円満の本当のコツは「沈黙」そもそも、「夫と対話がないのがさみしい」なんて言わずに、言葉少ない夫婦生活を、のんびり楽しんじゃってもいいのでは?以前、夫婦円満のコツは、黙っていることなんだなぁと実感した出来事がありました。

会話がなくてもコミュケーションは成立ある日、新幹線に乗ったら、ツアー客ばかりの車両で、これはしまった、と思ったことがありました。

きっと、おしゃべりがうるさくて、仕事もできないと。

そうしたら、いつまでも静かなので、顔を上げてよくよく観察したら、参加者は70代くらいの上品なご夫婦ばかり。

東京から名古屋までの間に、どの夫婦もほとんど会話はありません。

それでも、お弁当が配られると、阿吽の呼吸で、夫が開けた蓋を妻が受け取って袋に入れたり、富士山が見えれば、「見てごらん」「きれいね」とささやき合ったり。

夫婦円満旅のコツは、まさに沈黙なんだなと、教えてもらった瞬間でした。

ですから、夫婦の会話がないことをそんなに悲しむ必要もないと思います。

そもそも男性は沈黙することで生存の可能性を高めてきた歴史があるため、黙っているほうが脳の快感度が高い生き物。

だから、沈黙が心地いい相手ほど離れたくないというのが男性の気持ちなのです。

「女性の話が長い」と言われる理由反対に、女性はおしゃべりをしない存在が側にいることにとても違和感を持ちますから、「阿吽の呼吸の熟年夫婦」になるまでは、女性脳のためにはおしゃべりは大切なことです。

Ph/GettyImages話は少し逸れますが、少し前に、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗元会長の「女性の話は長い。

女性の多い会議は長くなる」という発言が問題になりました。

しかし、脳科学の立場からいうと、「女性の話は長い」と言ったことが罪なのではなく、「長い話は無駄」と思っている点が罪だといえるのです。

確かに「女性の話は長い」こともあるのですが、それにはきちんと理由があります。

女性脳は、とっさに共感型回路を使うほうが多いのです。

共感型対話は、感情をトリガー(引き金)にして記憶を引き出し、ことの経緯(プロセス)を延々と語るのが特徴。

そして、そのプロセスの中から、真理や知見を見つけ出すのです。

長い話は深い気づきを得るための手段さらに、誰かがそれをし始めたとき、他の人も、自らの記憶を語り始めます。

例えば、Aさんが「今日はこんなことがあってとてもつらい思いをしました」と話すと、Bさんが「あ~私も。

こんなことがあってつらかったわ」というように、「つらい」という感情をトリガーにして、みんなのつらかった体験が次々に語られていきます。

これは、個々の真実を重ね合わせていくことで、より深い発見をもたらすための「共通化」という現象です。

それぞれの経験を持ち寄ることで、これらを串刺しにした真理を見つけることができます。

事象が多くなればなるほど、真理はどんどん深くなります。

つまり、長い話は、深い気づきを得るための手段なのです。

「女は、競争心があるのか、誰かが口火を切ると、私も私も、としゃべる」と森氏はおっしゃったけれど、それは競争心ではなく共通化。

れっきとした知的行為なのです。

男性の話が長いときは「さしすせそ」で乗り切るでは、なぜ森氏は、女性の共通化現象を競争心と判断したのでしょうか。

Ph/GettyImagesそれは、とりおもなおさず、男性が同じことをするときは、競争心が動機だからです。

よく、女性からこう質問されます。

「男性上司の話が長く、止め処がない。

止め方を教えてください」女性の話は、共通化が目的なので、共感しあえれば、着地できます。

だから、上司の体験談に共感してしまう女性が多いのですが、これが仇になります。

男性脳が欲しいのは共感ではなく「勝利」や「成果」男性の話は、うっかり共感したら、延々と長くなってしまうことが。

男性脳が欲しいのは、共感ではなく、「勝利」や「成果」だからです。

うっかり「わかります~」と共感してしまうと、「いやいや、君にわかっているわけないよ、ぼくのほうがすごいんだから」と感じて、どんどん話が長くなります。

男性の体験談には、「さしすせそ」を駆使すると効果的です。

「さすがです」「知らなかった」「すごいわ」「世界一(展開例)こんなこと思いつくのは○○さんだけ」「そうなんですね!」をうまく使うと、男性上司の話は確実に短くなりますよ。

例え「大変だったんだよ」という愚痴でも、「それをやり遂げたのは、さすがですね。

すごい」と受けます。

男性の話には、愚痴のようでも、ちゃんと感心ポイントがあります。

心を澄ませてちゃんと聞けば、演技なんかしなくても、これらのセリフが出てくるはず。

夫の話が長いと感じたときも、ぜひ試してみてください。

教えてくれたのは:脳科学・人工知能(AI)研究者・黒川伊保子さん株式会社感性リサーチ代表取締役社長。

人工知能研究者、随筆家、日本ネーミング協会理事、日本文藝家協会会員。

人工知能(自然言語解析、ブレイン・サイバネティクス)、コミュニケーション・サイエンス、ネーミング分析が専門。

コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳と言葉の研究を始める。

1991年には、当時の大型機では世界初と言われたコンピューターの日本語対話に成功。

このとき、対話文脈に男女の違いがあることを発見。

また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。

2018年には『妻のトリセツ』(講談社)がベストセラーに。

以後、『夫のトリセツ』(講談社)、『娘のトリセツ』(小学館)、『息子のトリセツ』(扶桑社)など数多くのトリセツシリーズを出版。

http://ihoko.com/構成/青山貴子夫のトリセツ(講談社+α新書)●こき使ってくる夫への対抗策|1日の「家事の時間割表」を作って渡すべし【コロナ禍の夫のトリセツ】●外食したがる夫、ステイホームの妻…コロナへの価値観の違い解消には?【コロナ禍の夫のトリセツ】→「コロナ禍の夫のトリセツ」他の記事はコチラ

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