超キケンな「第3の脂肪」異所性脂肪、9つのチェックリストで溜まっているかを判定!
体脂肪は体の機能を正常に保つために必要。
だが、適正量を超えると肥満につながり、生活習慣病などの原因になる。
皮下脂肪や内臓脂肪に次ぐ”第3の脂肪”として最近、耳目を集めているのが「異所性脂肪」だ。
脂肪には3つの種類がある皮下脂肪と内臓脂肪はよく知られているが、異所性脂肪はどこにつくのだろうか? まずは、この3つの脂肪の違いと働きについて見ていこう。
脂肪がつくと、私たちは健康や美容のために躍起になって落とそうとするが、体脂肪には体を動かすエネルギーを蓄える役割があり、「健康を維持するためには、ある程度は必要」と、九州大学大学院医学研究院病態制御内科学(第三内科)教授の小川佳宏さんは言う。
「脂肪は3種類あります。
皮下脂肪は、皮膚と筋肉の間の脂肪細胞にたまる脂肪。
皮膚の上からでもつまめるのでわかりやすく、体温を調節したり、外からの衝撃に対するクッションのような役割を持っています。
内臓脂肪は、内臓のまわりの脂肪細胞にたまる脂肪で、皮膚の上からはつまめませんが、お腹がポッコリ出るなど、体形に表れます。
悪者扱いされることが多いのですが、内臓を正しい位置に保ち、内臓同士が傷つけ合わないように衝撃を和らげる役割もしています。
また、腸管のまわりについて、細菌やウイルスなどの侵入を防ぐ防波堤となっているため、多すぎても少なすぎても困る、極めて大切な役割を担っています」(小川さん・以下同)この2種類の脂肪は腹部CT検査などでも見ることができ、その面積から蓄積量を計算することもできる。
「食べすぎや運動不足などで消化しきれなかった余分な脂肪は、皮下脂肪や内臓脂肪として脂肪細胞に蓄えられていきます。
しかし、脂肪細胞の貯蔵力を超えるほどたまりすぎてしまうと、本来は脂肪が存在しない肝臓やすい臓、骨格筋などにたまり始める。
これが異所性脂肪です。
他の2種類とは違い、脂肪細胞にたまるのではなく、肝臓やすい臓、心臓などの臓器そのものにたまるため、たまりすぎると臓器本来の働きが損なわれ、健康を害してしまう可能性があるのです」CTにも写らず、自覚症状もない異所性脂肪は、知らないうちにたまっていくことから”隠れ脂肪”といわれることもある。
放っておくと糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病や動脈硬化のリスクを高める、危険な脂肪だ。
異所性脂肪がたまっているのはこんな人見た目ではたまっているかどうか判断できない異所性脂肪。
だが、チェックリストで1つでも当てはまれば、たまっている可能性が高い。
該当項目が多いほど注意が必要だ。
チェックが多い人が異所性脂肪を放置するとさまざまなリスクが●脂肪肝脂肪は肝臓で作られ、代謝もされる。
そのため、他の臓器と比べて肝臓には脂肪がたまりやすく、異所性脂肪の蓄積により脂肪肝になることがある。
これを放置すると、肝硬変や肝臓がんへと進行しかねない。
●NASH(非アルコール性脂肪肝炎)飲酒しないのに肝臓に関する数値に異常がある場合、異所性脂肪が原因である可能性が高い。
脂肪肝から進行し、肝臓に炎症や線維化が生じて肝硬変や肝臓がんに至る危険もある。
●糖尿病すい臓のベータ細胞に脂肪がたまると、インスリンの分泌が悪くなり、糖尿病の原因に。
また、脂肪が筋肉にたまるとインスリンが効きにくく、糖の吸収が悪くなって血糖値が上がり、糖尿病になる。
体脂肪は、「皮下脂肪→内臓脂肪→異所性脂肪」の順にたまっていくと考えられており、太っている人は、異所性脂肪が蓄積されている可能性が高い。
だが、やせているからといって油断はできない。
異所性脂肪は減らしにくく、日本人はたまりやすい体質「欧米人と比べ、日本人は体重の割には内臓脂肪や異所性脂肪がたまりやすい。
これは、もともと脂肪細胞のサイズが大きくないため、皮下脂肪として蓄えられる脂肪の貯蔵力が小さいことが原因。
太れない(皮下脂肪がつきにくい)体質の人は、余分な脂肪が異所性脂肪としてたまる可能性があるのです」写真/アフロまた、女性ホルモンのエストロゲンには、体脂肪を皮下にためる働きがあるが、閉経後は分泌が減るため、内臓脂肪や異所性脂肪がたまりやすい体質に変化する。
中性脂肪がたまりやすい40才以上の男性とともに、注意が必要だ。
中高年に多い「体重は変わらないのにお腹に肉がついた」「最近、筋肉が落ちた」などは、内臓脂肪とともに、異所性脂肪の蓄積が疑われるケースだ。
血液検査で、肝臓や中性脂肪、血糖などの数値が高く再検査となった場合や、高血圧の人も注意したい。
また、食べて体脂肪になる糖質(炭水化物)や脂質の過剰摂取、運動不足はもちろん、昼夜交替制勤務のシフトワーカーも要注意。
生活リズムが崩れてストレスがたまりやすく、ホルモンのバランスも乱れがちなため、異所性脂肪がたまりやすくなる。
「とかく、ポッコリお腹や筋力低下を加齢のせいにしがちですが、異所性脂肪がたまっているせいかもしれないと疑ってみてください。
気づかぬうちにたまるため、放置すると、脂肪肝やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)、糖尿病などに直結。
いずれも発症すると合併症を引き起こし、命の危険にもつながります」だが、3種類の脂肪の中で最後につく異所性脂肪は、たまりやすい半面、減らしやすい脂肪でもある。
「脂肪肝の場合、エコー検査で肝臓が白くはっきり映れば、異所性脂肪が蓄積された状態です。
そうなる前に、蓄積をくいとめ、落とすことができれば、病気の発症や進行を抑えることができます」異所性脂肪も早期発見、早期対処が重要だ。
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