【64歳オバ記者のリアル】母ちゃんが元気になった…今は会えないから“東京散歩”へ
バツイチ独身のライター・オバ記者(64歳)が、趣味から仕事、食べ物、健康、美容のことまで“アラ還”で感じたリアルな日常を綴る人気連載。
248回目となる今回は、緊急事態宣言下、老健から帰ってきた母ちゃんについて。
* * *母ちゃんが4か月ぶりに茨城の実家にゴールデンウィーク明け、4か月ぶりに母ちゃん(93歳)が茨城の実家に帰ってきた。
その時の様子を末弟がリモートで見せてくれたんだけど、思いのほか元気でホッ。
ニコニコしてピラピラ手を降っているの。
昨年12月4日に老健(老人保健施設)に入居して、それから心不全を起こして病院に入院。
何度か退院が伸びたあげくやっと許可が出たと思ったら、「一時的でも家に帰るのはまかりならぬ。
直接、老健に戻ってください」というそのわけは、聞くまでもない。
老健と医療施設の行き来なら安全だけど、自宅に寄ると感染のリスクが高くなるからなのよね。
そうしたことがあって念願の自宅に帰ってきたんだから、そりゃ、うれしかろうと思う。
その顔をぜひ直接見たいけど末弟は「姉ちゃんは来ねほうがいいな」と言う。
「だな」と短く答える私。
こんな思いを世界中の人が今しているのよね。
東京を歩き回るしかない田舎に帰らないとなると、東京を歩きまわるしかない。
だからか書店に行くと東京散歩の本がいろいろ並んでいるのね。
私も前から欲しかったスリバチ学会の本を買っちゃった。
土地の微妙な高低差を足で感じながらの街歩きは、ほんとに面白いよ。
都心の場合は、土地評価額と土地の高低差は比例しているそうで、高いとこに住む人はお金持ち、低いとこに住むのは庶民と相場は決まっているらしい。
私の場合、出が出だから、お金持ちの生活は実感できないけれど、高いとこに行くとちょっとは想像できる。
高台って、見晴らしはいいけど、でも風が強いんだよね、とか。
散歩の面白いところは人生ゲームじゃないけれど、歩くだけで、庶民、金持ち、庶民、金持ちと両方の世界を行き来できることにつきると思う。
ウォーキングをかねて日本橋のデパートへで、ここからはグッと世帯臭くなるんだけど、たまに、夕方ちょっと時間ができるとウォーキングをかねて日本橋のデパートに歩いていくんだわ。
秋葉原の自宅から5500歩くらいだから、ガッツがある時は往復するけれど、たいがいは片道だけで、帰りはバスに乗ったりするんだけどね。
行きのもうひとつの目的は地下食品街。
ときどき天然物の魚のアラが100円玉数個の値段で放出されていたりするの。
もちろん天然まぐろの生が500円、なんてことは滅多にないけど、これまで何回かゲットしている私は、まあ、釣り師の気持ちで自宅から日本橋を目指していくわけよ。
まあ、食い気がはやってネットで確認する前に歩き出しちゃった私が悪いんだけどね。
日本橋三越はすでに閉店時間を過ぎていて、ダメ元で行った高島屋は本館は閉店、新館地下の「成城石井」だけが空いていたの。
何も買わないと悔しいから、フランス産の発酵バターを1個買ったけど、明るい店内から薄暗い目抜き通りに出たときの気持ちといったらなかったね。
ひと気は少ないけど、車はほどほどに走っている。
なのに、気味が悪いほど静かなんだわ。
店が閉まるとこんなに街から音が消えるのかと思うと気が滅入ってね。
結局、バス停まで歩きながら15分、緊急事態宣言下の夜7時過ぎの日本橋通りを眺めていたわよ。
翌日は「サラダ気分」で起床ところでサラダってときどき、無性に盛大に食べたくならない? 私は1週間に一、二度、「サラダ、サラダ」という気持ちになって目が覚める時があって、その日がまさにサラダ気分だったの。
レタス、きゅうり、アボガド、トマト、新玉ねぎのスライス、卵焼き、ブルーチーズ。
冷蔵庫にあったありったけのものを盛って盛って、最後に自家製のドレッシングをバシャバシャかけるのは、ちょっと待って! 一応ダイエット中にだからほどほどに。
うちの近所に「ヴェルデ・レガーロ」というおいしいパン屋さんがあるの。
最近、気に入っているのがこれ(330円)。
あんまり美味しいので、人にあげたら、「これはお腹が空いたから食べようという種類のパンじゃないね」とメールがきたの。
イギリスパンと同じ素材を使ってフランスパンのように焼いているからか、今まで感じたことのない味わい深さよ。
こうしたつくり手の愛情が詰まったものを食べるのも、幸せのうちなのよね。
オバ記者(野原広子)1957年生まれ、茨城県出身。
『女性セブン』での体当たり取材が人気のライター。
同誌で、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。
バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。
一昨年、7か月で11kgの減量を達成。
●【247】怪しい”自称有名人”の私にNHKから届いたあるオファー●【246】高まる”バス旅”への欲望、旬の食べ物で解消する!?→オバ記者の過去の連載はコチラ